市議団だより−豊田のまちから
【09.01.26】トヨタの「虚構の赤字」宣伝を考える
赤字と言っても営業利益のこと、実は純利益は2200億円の黒字
トヨタは昨年十二月、トヨタ労組との間で開かれた生産分科会で、「今期は連結で千五百億円、単独で二千二百億円の赤字の見通し」となり、「緊急事態と呼ぶべき大変厳しい状況」として稼働停止や会社休業日を設けることを明らかにしました。
トヨタは「赤字」宣伝を大々的に繰り広げていますが、本当にトヨタの経営は深刻な状況にあるのでしょうか。トヨタの「赤字」宣伝について考えてみましょう。
◆ビックスリーと違って十分に体力がある◆
12月25日の記者会見で、会社が組合に説明した「連結千五百億円、単独二千二百億円」という赤字の根拠が示されています。
説明資料を見ると、「赤字」といっても営業利益のことで、営業外収支を含めた経常利益から、特別損失と税金を差し引いた純利益は、連結ベースで五百億円、単独二千二百億円の黒字になっているのです。
世界的大不況のなかで、収益が悪化するのは当然です。しかし、トヨタの場合は、企業の存続自体が問われているアメリカのビックスリーのような状況ではなく、十分に体力があります。
◆内部留保は13.9兆円も。…非正規労働者を増やしてため込んだもの◆
トヨタが必要以上に「赤字」宣伝を強めるのは、不況の犠牲を労働者に転嫁して少しでも収益の悪化を防ぎたいからです。なかでも、トヨタが率先して引き金を引いてきた「非正規切り」「派遣切り」にたいして爆発的に高まる社会的批判をかわすねらいがあることをみておくことが必要です。
トヨタとその小会社は、不当にも三月末までに契約期間が満了した期間労働者一万人近くの契約打ち切りを強行しようとしています。赤字になって、ラインも止めざるをえないのだから、それもやむをえないというわけです。
こんな理不尽なことは許せません。トヨタがアメリカを中心に売り上げを大きく伸ばしたのは二〇〇二年以降のことです。トヨタ全体の売り上げは、〇二年度の十六兆円から〇七年度には十兆円以上も伸ばし、二十六・三兆円にもなりました。内部留保も八・五兆円から十三・九兆円へと、飛躍的に増やしています。
この大もうけを支えたのが、派遣や期間工など、低賃金の非正規労働者です。トヨタが〇二年以降、売り上げを伸ばすのと比例して非正規労働者が増加します。トヨタグループ全体で、〇二年に三万人だった非正規労働者は、わずか五年間で五万七千人増えて、八万八千人にまでふくれあがります。
トヨタの正社員の平均年収は約八百万円ですが、非正規労働者は三百万円です。非正規労働者を増やせば、それだけで人件費を削減できて、ぼろもうけができるのです。
◆非正規労働者を一万人増やすごとに内部留保が1兆円増に◆
トヨタは、五年間で内部留保を五・四兆円増やしていますから、非正規労働者を一万人増やすごとに内部留保を一兆円近くため込んだ計算になります。内部留保は、文字どおり非正規労働者の血と汗と涙の結晶です。
不況になったからといって、内部留保を一円も取りくずさずに、契約満了といって非正規労働者の首を切るようなことは絶対に許されません。
(日刊しんぶん「赤旗」より)