市議団だより−議会&市政の報告
【10.03.18】3月議会最終日。議案採決にあたって、「討論」を行いました。
大村市議の討論を紹介します。
私は、日本共産党豊田市議団を代表して、通告に従い、順次、討論を行います。
◆まず、職員の労働条件・手当に関する議案5号から8号までの4つの議案について、賛成すべきとする討論を行います。各議案は、「職員給与条例の一部改定」、「職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例の一部改定」「職員旅費条例の一部改定」「職員退職手当条例の一部改定」の各議案であります。
残業時間が月60時間を超える場合、残業手当の割増率を引き上げるという改定内容に賛成であります。しかし、その目的は、議案質疑で確認したように、「残業を減らす」事であり、割増率の引き上げによって残業が付けにくくなったり、逆に「サービス残業」が増えたという事にならないように、対策をきちんと取るように申し添えます。
また、質疑により、その割増分を休日に振り替えるのか、残業手当で支給されるのかは、本人の選択によるものだという答弁を確認しました。妥当な改定である事を申し上げます。
研修などでの海外渡航費用で支給してきた支度料の廃止は、遅きに失した感がありますが、当然のことであり、そのように決定すべきであります。
在職中の不祥事が退職後に明らかになった場合に、退職金を返還させる事ができるようにする改定は、防衛庁汚職事件で逮捕された元事務次官に対する社会的批判が沸騰したした事で明らかなように、社会常識から考えて必要な改定であり、可決すべきだと考えます。
◆次に、議案13号、奨学金条例の一部改定に賛成すべきとする討論を行います。今回の改定により、返還金について「直ちに返還することを命ずる段階」「相当期間猶予する段階」「債権としては放棄する段階」の3段階が規定される事になります。「相当期間猶予する」条件は、条例上の規定では大学院に進学した場合と本人が病気になった場合だけでありますが、質疑を通じて、経済的な困難などを抱えた場合に、事情をよくつかみ、少しづつでも返還できるように運用で対応する事を確認しました。このように適切に執行される前提のもとに賛成討論といたします。
◆次に、議案26号、市道路の管理及び占用に関する条例の一部改定には反対すべき討論を行います。
本条例で規定する道路占用の対象は中電、東邦ガス、NTTなど大企業がほとんどであり、改定により占用料は7100万円減収になるとの答弁でありました。この改定は、国や県に準拠するという説明でありましたが、国土交通省は「国に準拠すべきとは言っていない」と発言しているわけであります。地方が地域の実情で決めればよいものであり、法人市民税が著しく落ち込んでいる今、占用料を引き下げるべきではなく、反対であります。
◆次に、予算関係の以下8議案には、反対すべきとする討論を申し上げます。
平成22年度予算案のうち、32号 一般会計、33号 国民健康保険特別会計、
43号 介護保険事業特別会計、46号 後期高齢者医療特別会計
さらに、平成21年度補正予算案のうち、48号 一般会計補正、49号 国民健康保険特別会計補正、 58号 介護保険事業特別会計補正、 61号 後期高齢者医療特別会計補正。以上8議案には反対すべきであります。
議案に対する意見のうち、主なものについて述べたいと思います。
まず、平成22年度一般会計予算案について。
個人・法人ともに市民税がマイナスになる中、基金からの繰り入れや市債を充当するなどして、市民生活には大きな影響を及ぼさず、また、市民生活の改善につながる施策の努力を行った点は評価する事ができます。
一方、いくつか反対すべき問題点もあります。ここでは、質疑などを通じて明らかとなった問題点をあげておきたいと思います。
(1)職員体制では、非正規率を22%から30%に引き上げる点は問題であります。非正規雇用が社会問題化している中で、市が率先して正規雇用率を増やすべきです。
(2)トヨタテストコースに関する予算では、いわゆる「市の持ち出し分」は1400万円+市職員の人件費の規模となるという事でした。いくら大企業といえ、一民間企業に対して、なぜ、税金でこれだけの支援をするのか、支出する必要性が認められません
(3)国民保護計画に関する予算では、そもそも地方自治体の計画としてなじまないと考えます
(4)市民生活が大変な中で、給食費の値上げを小中学校で1食あたり20円、こども園で10円、それぞれ上げる事には反対であります。公費投入をふくめて対策をとり、値上げを抑えるべきことを申し上げます。
(5)東部給食センターを民間で建設・運営をすすめるための予算に反対であります。詳細な意見は、後ほど、同趣旨の議案に対する討論で述べたいと思います。
(6)リニモのずさんな計画による経営悪化の尻ぬぐいのために、増資をする事は反対であります。これも、詳細な意見は、後ほど、同趣旨の議案に対する討論で述べたいと思います。
(7)国保の窓口業務を派遣労働に丸投げする事は大問題だと思います。個人情報を扱う責任において問題があると同時に、そもそも、窓口対応は、市民の声を直接受けて市政に反映させる重要な部署であります。それを民間会社に「丸投げ」する事は市としての基本姿勢が問われるというものであります。また、学校における外国人講師を請負雇用で民間会社に委託することは、「偽装請負」の疑いが極めて濃いものであります。答弁によれば、請負契約による制約により、外国人講師に対して校長、担任の教師などから授業についての「指示命令」や「打ち合わせ」ができないということです。そんな事で、教育的な効果が十分に発揮できるわけがありません。
以上の点をふまえて、一般会計予算案に対して反対すべきである事を申し上げます。
なお、一般会計補正予算についても、非正規の職員職員体制にかかわる補正やリニモへの増資、社会保障制度の改悪が温存されたままの補正などの問題点を指摘し、反対の意志を表明しておきたいと思います。
次に、各特別会計についても反対すべき問題点を申し上げます。
(1)国民健康保険特別会計については、市民の負担能力を超えるような高い国保税を、そのまま執行を予定している点
(2)介護保険特別会計については、「保険あって介護なし」と言われる問題点を残したままである点
(3)後期高齢者医療特別会計について、政権与党の民主党のマニフェストでも「廃止すべき」としていたものを、4年後に先送りすることにより、新年度から、さらに保険料の負担が増える点
などであります。
なお、各特別会計補正予算についても、指摘した問題点を含んでいる中での補正でありますので、反対すべき事を申し上げたいと思います。
以上、8つの予算関係議案に対する反対討論といたします。
◆次に、議案63号、愛知高速交通株式会社に対しての出資について反対討論を行います。
もともと、万博後の住宅開発が環境問題で中止になった時から愛知高速交通が赤字になることは目に見えていました。それを軌道修正することなく、第三セクターの尻ぬぐいは、資本参加している民間企業には求めず、つねに自治体が行うという悪しき慣例を行う事は許されません。日本共産党市議団としては、計画の当初から反対をしてきましたが、あらためて増資に反対するものであります。
◆次に、議案69号 豊田市東部給食センター用地の取得に対して、反対討論を行います。
子どもたちが口にする食事を作る給食センターでは、子どもの健康と安全性の確保が第一です。その上で安定した運営が基本とされるものです。PFI事業では、基本的に自治体が関与せず民間事業者が自由に事業展開を行うことになります。公的関与がきわめて希薄であり、今まで以上に公的責任が確保されないという事態が危惧されます。このようなPFIによるセンター運営と一体的に行う用地確保には反対すべき事を申し上げます。
◆最後に、議案74号豊田市職員定数条例の一部改定には、賛成の討論を行います。この間、「人員適正化計画」という名のもとに、実際には人員削減が毎年続けられてきました。日本共産党市議団は、毎年、その削減計画に反対し、本来、市民生活の安定と福祉の増進のために役立つ、必要な人員、文字通り「適正な人員」を確保すべき事を提起し続けてきました。質疑を通じて、正規職員が実数として5人プラスになるということがあきらかとなりました。人員削減路線がようやく軌道修正されたものと評価をし、賛成討論といたします。
以上で終わります。ありがとうございました。