市議団だより−議会&市政の報告
【12.03.26】市長に対して「がれきの受け入れ表明するように」議会決議する事には同意できない
26日、3月議会の最終日、自民クラブ議員団の発議を発端に、民主、公明各派代表者会議でまとめられた「東日本大震災で発生したがれきの受入れに関する決議」案が本会議に提案されました。
これに対して、日本共産党の大村よしののり市議が行った「討論」を下記のようにお伝えします。
議員提出決議第1号(東日本大震災で発生したがれきの受入れに関する決議)について、日本共産党豊田市議団を代表して、市長に対して「受け入れ表明するように決議する事」には同意できないという意見を申し上げます。
決議の趣旨で述べられている東日本大震災で発生したガレキの広域処理という要件については賛同するものであります。
趣旨で述べられているとおり、いまも山積み状態となっている災害ガレキは、被災地の復興の大きな障害となっており、被災地の復興にとって最重要の課題であることは言うまでもありません。この、ぼう大なガレキ処理を被災地だけで行うことは困難であり、被災県以外も協力をして、「広域処理」をすすめることが必要であると思います。
したがって、豊田市も含めて、全国の自治体が広域処理を責任もって受けられるように、政府としてガレキに含まれている可能性のある放射性物質への対策を真剣に講じることや科学的な基準を明確に示すことなどを「国に対する意見書」としてあげる事には全く賛成であります。
ただ、この決議案は、市長に対して「ガレキの受け入れを表明するように求める」決議案として提案されているものであります。議会が決議して市長に提起するという事は、市長としてはその内容を当然尊重してもらわなければなりません。議会の決議を最大の根拠として市長がガレキの受け入れを判断するという事になるわけであります。
そうした時に議会としては、市民に対する説明責任がはたせる根拠をどれだけ持っているでしょうか。私も含め、個々の議員の活動としては被災地を直接訪れ、ガレキの現状を見てきた人は何人かあると聞いています。しかし議会という機関として調査をしたり、対策を議論したことは無かったと思います。現状のままでは、市民の中にある様々な不安に対して、議会として説明責任をはたす材料を持たないまま、市長にガレキの受け入れを表明せよと迫ることになってしまうのではないでしょうか。
決議の1項目では、「通常の廃棄物相当と判断されるものについて受け入れ表明すること」としていますが、この「通常の廃棄物相当」というものを政府が使う用語で解釈するとどうなるでしようか。
政府は、ガレキのうち、特別に管理が必要な指定廃棄物は、セシウム134とセシウム137の濃度の合計で1キログラム当たり8000ベクレル以上のものと定めています。これを超えるものは、国が処理することになっていますが、これ以下のものは、放射性物質が含まれていても、指定廃棄物とされない、一般廃棄物と同様の扱いにするとしているわけであります。したがって、まともな対策が講じられていません。
豊田市議会として、放射性物質が含まれていない、いわば普通のガレキは問題ないのだから受け入れればいいと良心的に解釈していても、国の解釈はそうではないのです。受け入れる自治体として市民に説明できる対策や独自の基準の検討が必要なのはこのためであります。
だからこそ、先日、中日新聞の報道にあったように、市長も、「安全性が明確なら前向きに検討する」とアンケートに答えられたようであります。そういう段階だと思います。多くの市民がガレキの受け入れの必要性は理解されていると思います。同時に多くの市民が受け入れる際の不安も感じている。その時、議会がなすべきは、市長とも協力して市民にきちんと説明できるだけの内容を調査し、情報を公開していく努力だと思います。拙速に、市長に受け入れ表明の決断を迫る事は、市民の合意を得ながら、この問題に対処していく流れに逆の困難をつくる事になるのではないかと懸念されます。
以上、不同意の意見として、表明いたします。
決議は、自民・市民フォーラム(民主)・公明・諸派(岡田市議、青山市議)の賛成多数で可決。日本共産党市議団は、不同意としました。