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【04.03.14】市長の施政方針を検証する

 先の市長選挙では「みんなの声を大切にする市民の会」から立候補した土屋候補が善戦しました。選挙戦で訴えた公約が、市民の声に応える内容であることが明らかになりつつあります。例えば、市長就任あいさつで、鈴木市長は「生活者の視点を重視した市政の展開」を一番に挙げています。ぜひ、実現していただいきたいものです。運動の結果として、若干の成果がみられます。一つは防犯灯の設置改善です。二つに学童保育の改善があります。三つに特別養護老人ホームを来年度、3つ誘致対象を募集します。以下、一年間の方向を決める「施政方針」と「教育行政方針」の特徴をみたいと思います。 
 昨年の市民意識調査結果で、「約八割の市民が自分の老後生活に不安を感じている」と出ました。そこで、高齢者の交通対策の充実で、「福祉バスも含め本格的な高齢者の外出支援を検討」、「また交通費助成につきましては、その名称も含め支給方法など検討」としています。
 合併問題では、「真摯に議論を積み重ね、着実に実現」していくとあります。昨年鈴木市長はひまわりテレビで、「法定協議会は合併を決めるものでない」と発言しています。パブリック・コメントでの一部市民だけの意見や、議会だけでなく住民投票で決めることが重要です。国の財政削減の脅しによる押し付け合併の矛盾が明らかになるにつれ、合併中止を決める自治体も増えています。補助金と地方交付税と地方での独自財源の三位一体の地方財源改革は、補助金と地方交付税のカットだけが先行し、入る方の見通しが立っていません。「三位バラバラの改革」です。
 少子高齢時代に備える取り組みでは、「子育て支援センターを新たに越戸保育園に設置します。」しかし、「幼稚園・保育園の民間移管を推進し、平成十六年度は伊保原保育園、林ヶ丘幼稚園の2園の移管先を募集・決定する」方針です。
 医療整備体制の充実では、「地域医療センターを含めた市内の病院や診療所の役割分担の明確化や、病院や診療所の役割に応じた適正な利用の推進について基本的な考え方をまとめてまいります。また加茂病院の移転につきましては、移転事業に対する支援内容や方法についての基本的な考え方をまとめていきます。」とありますが、これでは移転が先にありきで、老朽化した加茂病院の移転新築を助成するものです。加茂病院のベッド数は増えないし、高度医療や小児救急医療計画、跡地利用計画も示さないままの市民不在の計画で、「公的病院」といえるのか疑問です。
 地震への対策では、「公共建築物の耐震化を完了させる」、「木造住宅の耐震診断制度の充実」、「緊急生活物資などの備蓄、情報伝達手段の強化なども重点的に取り組む」としています。しかし、耐震診断の結果が悪く改築する場合は補助対象となりません。また、木造や住宅以外の診断も早く人と予算を増やして実施すべきです。さらに電線の地中化や、延焼を防止する広場や公園・緑地が必要です。避難所ではトイレが使え、井戸を儲け、学校で炊き出しが必要です。そのためには給食を学校ごとにできるよう復活することです。
 ものづくり、工業振興では、「グローバル化をはじめとする厳しい環境の中では、市外からの企業誘導に加えて、市内に立地する企業の一層の発展や流出防止を図る必要があります。」としています。ここでは世界的企業トヨタの大もうけを、下請けや労働者、地域に還元せよという姿勢はありません。そして、外部依存の工場誘致を期待する時代遅れの政策です。サービス残業の抑制、雇用の拡大、障害者の雇用などを企業に要請すべきです。その一方で、産業基盤の要素が強い高規格幹線道路や高度情報交通システムITSに大きな予算と人員を配置しています。道路を中心とする土木費は抑制し、歩道や街灯、市民交通、防災など生活アメニティ優先にすべきです。無駄を削るなら、二人助役を一人にすること。来年度一年で、全議員が海外旅行することを止めることをまずすべきです。
教育方針は第一に「豊田市独自の学校教育改革の推進」で、少人数学級の導入と二学期制の導入により、子どもたち一人ひとりの成長をきめ細かく捉え、支援する絶対評価が生かされ、基礎学力及び学びへの興味・関心を高めることが可能になります。」としています。導入後に「市民公募委員を入れて検討委員会で検証する」とは、試行実施もなく、父兄、教師の意見も良く聞かず強行。教員の指導力の向上と意識改革について、「民間企業と連携した管理職研修の充実」と、「校長裁量権の拡大」を掲げています。教師は一人ひとりの発言を尊重し、協力して子どもの教育に責任を持ちます。第二に「モノづくり文化創造プロジェクト」の推進です。「とよた科学体験館のオープン及び愛・地球博の開催に合わせて科学創造フェスタを充実させること」。さらに、「中学校のいじめ・不登校対策教員を四名増員し、八名体制とします。」とありますが、教員の管理強化、トップダウンでは実現が困難ではないでしょうか。豊田市内には進学塾が次々に建築され発展しています。子どもの人権を守るために、川崎市のように子ども権利条例をつくることが必要です。また、モノづくり・産業優先で、優勝劣敗の競争社会から人間優先の社会を目指さなくてはなりません。今教育の原点に返りみんなが学習・議論をすすめることが求められています。「学校給食への地場農産物の使用を拡大し、子どもたちの食への関心を高め、食に関する指導の充実につなげて」いくとあります。この点はおおいにすすめるべきだと思いますが、食材の納入や補助金など本当の「規制緩和」なくして実現はむつかしいのではないでしょうか。

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