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【04.09.01】「構造改革」と地方政治を考える

大村市議が党県地方議員研修会で発言

日本共産党愛知委員会がこのほど開いた地方議員研修会で大村よしのり豊田市議が行った発言(大要)を紹介します。
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「構造改革」は財界・大企業の要求
  
「構造改革」が、大企業の要求に沿って行われていることは間違いありません。80年代までに、すでに欧米の大企業が海外進出で多国籍企業化をすすめるなかでも、日本の大企業は、特にトヨタ自動車がその典型でありましたが、まだ、国内生産を中心にしておりました。自民党政治は、それを後押しし、徹底した大企業優遇政策を行い、そこで得た税金を地方にばらまくという形で政権の維持をはかってきました。
たとえば、利益誘導型による大型開発や、その限りではあるがカッコ付きの「農村や自営業、中小企業の保護」も行っておりました。また、国民の運動におされつつ政治変革を許さない政治の保険という範囲で、社会保障にも一定のお金をさくということも、まだ、行っておりました。 
それが90年代に、日本の経済がグローバル経済に組み込まれていく中で、トヨタ自動車も明確に多国籍企業化にハンドルを切ったといえます。後発で多国籍企業化した日本の大企業は、今まで通りの活動では欧米の多国籍企業に競争で勝てないということで、むき出しの形で「法人税を下げよ」「社会保障の企業負担を下げよ」「農村と都市の自営業者に使われている税金を切り捨てて、大企業のために使え」という要求を自民党政治につきつけました。政府による市町村合併の押しつけもそういう流れでみるとよくわかる話であります。このような大企業の要求にそって橋本・小渕・森と各内閣で構造改革が追求され、そして小泉内閣でドラスチックな形で行われています。

 大幅な大企業減税が行われた
 
その実態を地方政治の場で明らかにすることは、トヨタ自動車(以下、トヨタと略)という、財界総理企業を抱える豊田市議会の日本共産党議員に課せられた任務だと考えています。
 トヨタ単体の利益(連結でなく)の推移を調べました。バブル絶頂期の一九九〇年度、経常利益は七千三百三十八億円です。それが二〇〇三年度は八千九百二十六億円と一・二倍になっています。
 6月議会で、市内の資本金五十億円を超える企業(一号法人)が〇三年度に納めた法人市民税の金額を質問しました。市側は九〇年度の納税額の資料がないと答えました。私は、法人市民税の税額全体から一号法人の占める割合のこの間の推移をもとに、少なく見積もっても二百六十七億円だと指摘しました。
 一号法人のうち、市内に本社や多数の工場群を持つトヨタの占める比重は他を圧倒していますから、トヨタの経常利益がこの間一・二倍になったことに相応し、〇三年度の大企業の法人市民税も、一・二倍相当、三百二十億円ほどの納税があっていいはずです。しかし、納税額は二百三十九億円という答弁でした。
 一方、資本金一千万円以下の一番小さい規模の中小零細事業者(九号法人)は、現在、市内に四千六百社。市内法人数の68%を占めます。
 議会質問で、利益が出て法人市民税を納められた九号法人の企業数をただしました。答弁は「千四百二十二社」。納税できたのは、中小零細業者のたった三割ということです。
 
 中小企業の力生かす産業政策に共感
 
 議会の特別委員会の一員として、豊田商工会議所と懇談する機会がありました。「大企業を中心に景況感が上向いていると言われますが、中小企業を中心とする商工会議所としてどう見ていますか」と聞きました。商工会議所幹部からは「会員の声を集約すると、売り上げは右肩上がりですが、それに見合う収益がない。単価切り下げで利幅が少ないからです」という回答でした。実に率直です。
 このようななかで、私たち議員にも様々な活動が求められています。産業政策で二点ふれます。一つは、下請け中小企業支援策です。市はいま、産業支援センターをつくる方向で具体化を進めています。私は、有名な墨田区の中小企業支援センターのようなものをつくろうと、積極的に提案をし、推進を働きかけています。
 これは市の産業政策の大きな転換です。この間の市の政策は、企業誘致が中心でした。トヨタの誘致にはじまり、税制優遇、工業用地整備など、企業をどう誘致するかが産業政策の中心でした。下請け中小企業を育て、内発的な力をどう発展させるのかという発想はきわめて乏しかった。しかし、今、トヨタの系列という形で守られてきた中小企業は、構造改革路線の中で切り捨てられ、基盤がくずれてきています。私は、議会でその問題意識を示し、高い技術力をもった膨大な数の中小企業の集積を力にする産業支援政策に転換するように求め、産業支援センター構想も提案してきました。
 商工会議所との懇談でも、こうした考えについて、「商工会議所として、まったく同感です」と言われました。
 (大村氏は、このあと、中小業者のため、ディーゼル車の排ガス規制に対応する後処理装置装備への補助を実現させた活動について触れました)


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