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【04.10.31】中小企業支援センター 視察報告 ★画像あり
広島市、神戸市、大阪市、京都市
十月二十五日〜二十七日にかけて、豊田市議会産業支援特別委員会の行政視察が行われました。この視察に参加した日本共産党の大村よしのり議員による視察報告をお伝えします。
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行政視察の趣旨は、中小企業を支援する行政機関のあり方、特に「中小企業支援センター」のような機能を見ようというものでした。広島市、神戸市、大阪市、京都市の各施設と取り組み状況を担当者から聞きました。
私は議員活動の中で、市内の下請け・中小企業の振興という課題を強い関心を持って取り組んできました。一方で、トヨタ自動車が空前の利益を上げながら、他方では、その下請けである中小企業の経営が苦しさを増している。それを看過できないという思いが強くあったからです。大企業による下請け単価の際限ない切り下げを規制し、中小企業の経営を安定させることができないか。さらに、膨大な中小企業群が存在し、高い技術力が集積化している豊田の地域で、それを応援し、発展させていくことができないか。そうすることが、地域経済の発展にとって不可欠だと考えて議員活動に取り組んできました。その角度から、「中小企業支援センター」構想も議会で提起してきました。今回の視察は、その意味で意義のあるものでした。
広島市工業技術センター
工業技術センターは、総延床面積６７８９�屐７�設総事業費５６億円、そのうち製品評価試験分野の諸機器整備費が２億９３００万円。センターの予算規模は１５年度で４億２千万。うち、人件費が２億８千万です。
施策・事業としては、環境・福祉・産業デザイン・バイオの分野など新規産業の支援。価値を高めて工業振興をはかる事業として、アドバイザー派遣や産学官共同の研究、技術研修を行うと共に、公設試験研究事業などを行っています。
この施設の視察で感じた事を以下に報告します。
●製品試験の検査機器は総合的に対応し、全体を網羅していて大変な規模を有していると感じました。地域の中小企業の技術的基盤を支えるためになくてはならない存在になっている感じです。
●特に技術職員が重要だと感じました。歴史をもっているセンターなので、その点が充実しているようでしたが、新しく豊田市で創っていくとすると、この点をどうつくりあげるかが課題だと思いました。
●試験センターの利用料の設定は、民間の試験機関よりも当然、低額に設定されているということでした。その意味でも、中小企業の支援に有効だと感じました。逆に言えば、豊田地域の下請け中小企業はどう対処されてきたのだろうかと考えさせられました。豊田地域の下請け中小企業は、「自力」で高額な自己負担で、遠くの検査機関に持ち込んで製品検査を行ってきたということなのだろうか。現状を具体的にたしかめる必要があると感じました。
●製品検査のための精密機器は、技術革新にあわせて絶えず更新しなくてはならないのか財政面で心配でした。しかし、検査の「精度」をどう確保するかという点でいえば、原理的な技術はそんなに変わるものでなく、その部分では１０年前の機器でも十分対応できる機器も多くあり、それで対応できているということでした。参考になる視点だと思いました。
大阪市産業創造館
大阪産業創造館は、建設費一七０億円、職員１００名、事業規模２６億。年間の利用状況は、面談相談受付３０００件 セミナー・研修会２００回、マッチングイベント１００回、利用者年間３５万人、 貸館としての利用率７４％。
産業創造館としての事業は、「ワンストップサービス」と考えているとのこと。信用保証協会も入っていて融資相談を受けられる。同時に研修やセミナーの場も様々にある。面談相談とともにネットで２４時間相談も受けている。創業支援としての相談や創業準備オフィスも設置。そのための会議室やホールを持っている。
この施設の視察で感じた事を以下に報告します。
●施設は「ハコモノ行政」的な「豪華」さで、その点は問題を感じました。しかし、豊富な支援施策が市内企業を軸にしながら取り組まれていて、その点は、大いに参考になると感じました。特に、中小企業のニーズと施策があっているのか、市内の企業の特徴はなにかを把握するために、市内に２万３０００ある製造業の訪問調査を昨年度実実施したという点は大変教訓的で豊田市として学ぶべきだと感じました。訪問調査はすべて面談で行ったとのこと。
●私は、質問で「面談調査の対象というのは、家族経営の零細企業も含めているのか」と聞いたところ「工業統計にのっているすべての事業所を対象とした」との答えで感心しました。その結果、「施策にたいする要望や、各企業の強みがわかって調査活動と事業の進行がよく結びついてよかった」と説明されていました。豊田市としても、「産業支援センター」などを具体化するにあたり、参考にしたい視点です。
神戸市産業支援センター
神戸市産業支援センターは、中小企業支援センターとして国の指定を受けている事業として、�．ぅ鵐拭璽優奪箸粘覿肇如璽拭璽戞璽垢糧�信、HP発信、情報紙発行 ��技術開発支援 ��人材育成のための研修、人材確保のための説明会、神戸マイスター制度、ものづくりセンター �せ些愆姥鯲�会、企業のネットワークづくり支援 �タ卦�企業の育成、S0H0ブース１３室・スモールオフィス４室・企業育成室１０室 �Ψ弍帖Φ蚕僂料蠱漫�雇用相談
その他に、貿易促進、海外事務所を天津・南京・シアトルに置いている。
この施設の視察で感じた事を以下に報告します。
●ここの中小企業支援センターは、国がすすめる「ベンチャーなど新規創業は支援するが、従来からの中小企業の支援という視点が弱い」という、そのままを強く感じさせる気がしました。
所長は、説明の冒頭に「震災から１０年。まだ全面的に立ち直れていない。さらに、関西圏の経済的不況は深刻で、わけても神戸は大変。その意味でも、土場産業の中小企業振興は大事なテーマ」と言っていました。私は、その意味で「不況のなかで、中小企業は仕事確保に苦しんでいると思うが、その点での施策はどうか」と質問しましたが、「行政が公共事業で仕事を出す時代ではない。中小企業支援も、やる気のある元気な企業を応援する」と所長が答えました。震災で壊滅した地場産業などの中小企業への「暖かい視点」が欠落しているようで気にかかりました。
●一方で「神戸マイスター」などと言って地域の職人的な技術を大切にしようという試みをしているそうですが、（マイスターに対する報償は年、数万円のわずかなものだそうだ）、まちに蓄積されてきた中小企業の技術力をネットワーク化するなどして、新たな製品や仕事をつくったり、取引の拡大をすすめたり、そういう角度で仕事を増やすことを考えないのでしょうか。
行政がイニシアティブをもってそのような企業どおしをコーディネートすることを考えてもいいのではないかと私は思います。
●以前、東京の墨田区の中小企業支援センターに視察に言ったとき、そこの所長さんは、「区内にある中小企業の技術力を他の地域に売り込んで仕事を増やすために、部長以下、幹部職員が区が作成した墨田の中小企業紹介CDを持って営業に回った。こんな加工のできる技術をもった企業があります。ぜひ、墨田の中小企業に仕事を回してくださいと回った」と言っていた事が印象深く思われます。
●他方、貿易促進と中小企業の海外進出を視野に、海外事務所を天津・南京・シアトルに置いているという点は注目した。たしかに、有数の貿易港をもち、海外との関係をもつのも、歴史がある市ならではあるが、今後の経済、社会の発展を考えたとき、特に中国の都市とのつきあい方では参考にすべき事と感じました。
京都市工業技術センター
京都市工業技術センターは、京都の地場産業を中心とした中小企業のための技術研究と技術相談、試験分析、講演会・研修会などの人材育成、研究会をコーディネートする事などを行っている。製品の検査・試験の依頼も受けている。民間の検査機関が多くあるなかで、公的な機関として試験分析を設置する必要性をどう考えているかというと、�〇邯格�析に必要な装置が中小企業にとって高価な場合 ��高価ではないが、その装置が日常的に使用しない場合 ��試験分析の技術内容が複雑で、企業で対応しにくい場合 �だ渋す�程で発生する不良やクレームに工程全体で分析して、改善提案もふくめて行える。民間の試験機関では依頼された製品それ自体の分析だけにとどまることが多いが、公共の機関だからこそ、そのような対応ができる。という説明でした。以上の位置付けは豊田市として試験検査センターを構想するにあたり、大いに参考になりました。
この施設の視察で感じた事を以下に報告します。
このセンターは研究開発にウェートがおかれた技術支援センターだと感じました。大学の研究室でもなく、企業の研究室でもない。その中間で企業が実用化できるような研究開発を３０人もの技術・研究員の職員ですすめています。大企業には、当然、研究開発のセクションがあるが、中小企業にはない。そこを公共でカバーしようという位置づけのようです。
特に、京都ならではの特徴として、漆器や窯業、酒造など伝統的な地場産業をささえるための研究開発を行っているところは特徴的でした。
その意味では、レベルの高い研究とそれに対応する機器をそなえています。豊田市のように、かなり特化した企業の内容の場合、その特徴にあわせたセンターの内容が検証されないといけないと感じました。
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