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【04.11.10】豊田加茂の合併が議決される。

日本共産党の大村市議が反対討論

 九日、豊田市臨時市議会が開催されました。議案は、豊田市に藤岡町、小原村、足助町、下山村、旭町、稲武町を編入合併するための関係条例の議決です。すでに、今月一日、七市町村長による合併協定調印式が行われています。その意味では、この臨時市議会が、豊田加茂・七市町村の合併手続きにとって、最後のハードルであったわけです。
 大村市議は、五点にわたって本質的な質問を行い、市当局の見解をただしました。
[合併判断は、政府方針に従うためか、自主的なものか]
◆質問「現在、政府の方針によって市町村合併が推し進められている。今回6町村を豊田市に編入しようとするのは、政府の方針に従うための決断か、地方自治体としての自主的な判断による決断なのか、市長にお聞きしたい。」
 ◇答弁は、「検討に入る段階では国の方針が影響した事はたしかだが、今回の合併に至ったのは市として自主的な判断による決断である。」というものでした。
…大村市議は、一点目の質問にたいする答弁を受けて、次のように意見を述べました。…
 全国で市町村合併の嵐が吹き荒れているが、そこにはいったい何があるのか。それは、まぎれもなく、国の施策、上からの強引な合併の誘導が原因しているのではないか。
政府はなぜ、上からの合併を強引に誘導するのか。それは、国から地方への財政支出を、大幅に削減するためである。いったい、政府が、そのように地方への財政支出を削るはめとなった、国の財政赤字をつくったのはだれの責任なのか。最大の要因は、バブルとその後の政府の経済対策にしたがったムダな公共事業の急速な拡大にあったことは、だれもが認めるところではないか。政府は、このような経済政策の間違いも改めようとしないばかりか、責任を棚上げしたままである。
 ただ、一方的に、国民の社会保障を削って財源をつくる、地方への支出を削って財源をつくる、政府の失敗でつくった赤字を、弱いものに情け容赦なく負担を押し付けて、乗り切ろうとしている。
 山を育くみ、国土を守ってきた中心は、農山村にある多くの町村自治体ではないか。政府による財源削減の脅しによる合併誘導は、その点から言っても、国を滅ぼす政治だということを申し上げたい。
 答弁では「市として自主的な判断だ」と言われたが、とてもそのようには思われない。鈴木市長は、元々「市町村合併というのは、国のスケジュールとは関係なく、急いで進めることはない」と言っていたではないか。それが、急遽、態度を変えて文字通り国のスケジュールに合わせて急ピッチで合併論議を推進してきた。結局、政府の施策に従ってすすめてきたという事ではないか。このような合併に異議を唱えるものである。
[合併による住民サービスの低下はないか]
 ◆質問「編入される6町村の住民にとって、今後、住民サービスや利便性は、全体として現状の水準を下回ることがないと確約できるのか。合併後、『受益と負担を追求』すれば、同じ市域にあっても、住民サービスに格差がでることが予想される。『旧豊田市域』と『旧町村市域』でそのような格差は生じないと確約できるのか。同時に、豊田市民にとって、編入に伴う財政負担からくる住民サービスの低下がないと確約できるのか。」
 ◇答弁は、「豊田市のサービスを基本として調整してきた。基本的には豊田市のほうがサービス水準は高いと思う。豊田市の住民サービスは低下しない。負担の変化が生じないように激減緩和措置をとる。指摘されるような心配はない。」というものでした。
現在の豊田市民への負担増はどの程度あるのか
 ◆質問「豊田市民にとっての財政負担をあらためて確認したい。合併を選択しなかった場合と、6町村の編入を選択した今回の場合を比較して、豊田市民にとっての財政負担はどのように増えるのか。」
 ◇答弁は、「十年間は合併により住民負担が増すことない。」というものでした。
 …これに対して、大村市議は次のように意見を述べました。…
 「答弁の中で、合併による豊田市民への財政負担の増加はないと答えられた。しかし、国から地方に出す財政を減らすために合併が行われるわけだから、地方交付税の不交付団体である豊田市がその分を肩代わりするようになる事は、どう見ても客観的にはあきらかな事だ。
 実際、豊田市として肩代わりするような事は可能なことなのか。それは非常に困難だと思う。今回の合併によって、名古屋市の三倍の市域となる。それを名古屋市の五分の一の人口でささえることになるわけで、広大な山林をかかえることにもなる。
編入される自治体の住民の中に、「中心になるところはいいが、周辺部はさびれるのではないか」という不安があることは当然のことだ。それは、かつて、豊田市に編入された縁辺地域の都市基盤整備の遅れが、いまだに解消されていないことを見れば歴然である。いっそうの過疎化が危惧される。その意味で、本議案に反対するものだ。しかし、私は、その危惧が現実のものにならないことを強く希望するものでもある。
[住民の声が反映されるしくみは整うのか]
 ◆質問「編入される町村の住民にとって、行政や議会が、地理的にも精神的にも遠くなることは否めない。住民の声が行政や議会に反映されるしくみは、十分整うと考えているのか。」
 ◇答弁は、「『地域会議』を機能させていく。支所職員の体制も松平町が合併した時は、支所の職員は三名から四名の体制だったが、今回は現状の五割から六割を残すという多くの体制を考えている。十分に住民の意見が集約できる体制づくりができると考えている。」
というものでした。
[「住民投票」をやらなかった理由は何か]
 大村市議は、合併で予想される問題点を指摘しつつ、次のようにのべました。
 「今日、住民投票にもとづく結果で合併賛成の結論を出したところも少なからずある。その際、私たち日本共産党の地方議員は、合併による様々な問題点を指摘しつつも、住民の出した意思に従うという事で、合併の議決には賛成する場合が少なからずある」。このような立場を表明しつつ次の質問を行いました。
◆質問「自治体の合併については、住民の意思にもとづいて判断すべきであることを一貫して主張してきた。市長は、必要な時には住民投票も考えるという事を言っていたと思う。最終的に住民投票による判断をとらなかったのはなぜか。その理由を明らかにしていただきたい。
◇答弁は、「住民懇談会やパブリックコメントなどを実施してきたが、合併に対して異を唱える声はほとんどなく、おおむね合併については理解されていると判断してきた。政策判断をするうえで、今回のケースは住民投票を行う案件ではなかったと思っている。」というものでした。
…大村市議は住民投票についての答弁受けて、次のように意見を述べました。…
 自治体の合併は、住民の意思にもとづいて判断すべきである。歴史ある一つ一つの自治体をなくして合併するという重大な結論を、首長と議会の判断で決めてしまっていいものか。
 市当局は、住民投票をやらなくてもハブリックコメントや市民アンケートで十分だと言われたが、三十五万市民の何十分の一かのアンケートで本当に十分と考えているのか。かつて、本会議の私の質問への答弁で「統計学上、十分にそれだけのデータで判断できる」と答えてこられた。私が申し上げたいのは「統計学」の問題ではない。「民主主義」の問題である。
 最終的には、直接民主主義で、一人一人の住民の意思を確認して結論を出す、これが、最低限必要な措置だと思う。その意味では、全豊田市民の意思を確認すべき住民投票、もしくは、全市民を対象とした市民アンケートを行わないまま、今回の合併をすすめるこれらの議案にたいしては、反対すべきである。

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