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【05.12.18】耐震偽造と行政の責任

12市議会 大村市議の一般質問

十二月豊田市議会で日本共産党の大村よしのり市議は、「耐震偽造問題と行政の責任」というテーマで質問しました。
 今回の耐震偽造問題の根本には、「官から民へ」ということで、民間検査機関に建築確認を規制緩和した事が引き金となっています。
 大村市議は、質問の中で、「1998年以降、建築確認と完了検査が『規制緩和』されて民間検査でも実施できるようになった。市内の実績として、年度ごとに民間機関による確認検査の実施数とその割合を示」すように求めました。
●七割が民間での建築確認
 答弁では、今年度(十月末現在)七十二%が民間検査機関による建築確認だという答弁でした。また、構造計算書の改ざんが確認されている物件にかかわった木村建設、平成設計、ヒューザーの3社にかかわる建築物は、市内で4件あるということが、大村市議の質問を通じて明らかとなりました。
 大村市議は、市が行っていた建築確認が民間検査機関に規制緩和された問題点として、「高層マンションとか、ラブホテルとか、建築にあたって、地域住民とよく紛争になりますね。従来でしたら、建築確認は市しかできませんでしたから、当然、行政指導的な作用を働かせることができたわけです。ところが、民間で許可まで出せるということになると、豊田市民の暮らしとは全く関係のない、東京だとか、大阪だとか、そういうところの民間機関に検査をだして、さっさと通してしまう」と、問題点を指摘しました。
●「税金で尻ぬぐい」のツケが回ってくる
 さらに、大村市議は、最高裁の判決を元に、民間検査機関で間違った建築確認を行った結果責任を自治体が取らなくてはならなくなると指摘。建築確認の「民間検査体制」の見直を国に対して強く求めるように、市長に提起しました。
(最高裁判決の内容)
今年6月、国が認定した民間検査機関が建築確認を出したマンションに対して、横浜市の住民が確認の取り消しを求めた訴訟をおこした。判決は、「検査機関による確認事務は自治体の事務である」というもの。つまりこの建築確認は「市が行ったものとみなす」との決定を出したものだ。賠償を求められたら、市が責任を負う可能性が出ている。
●県は「構造計算」担当職員を配置していない
 愛知県内でも、半田のホテルが耐震偽造で営業休止になっています。この建物の建築確認を行ったのは愛知県でした。県は、「偽造が巧妙で見抜けなかった」としています。しかし、そもそも、今回、問題となった偽造をチェックする「構造計算」専門の担当職員が県には配置されていません。これでは、そもそも見抜けないのは当然ではないでしょうか。豊田市には二人の構造計算専門の職員がいます。
 大村市議は、民間検査機関で偽造が通ってしまう構図を次のように指摘しました。
「自治体が検査したものでも、偽造を見抜けなかったではないか、という議論はあるようですが、建築の専門家の間では、このように言われているそうであります。
姉歯偽造には2通りある。民間の甘い検査機関はノーチェックだから、でたらめな偽造をやってもバレない。こういう中でコストダウンに対応する偽造がはびこった。一方、自治体に検査を出さなくてはならない場合は、より巧妙な偽造で対応するようになった。この2通りの偽造があるというのであります」。
しかし、愛知県は、そもそも、チェックする前提の体制そのものが整っていなかったという問題です。職員の削減で「自治体リストラ」に熱心な愛知県当局のツケが住民に回されたとも言える実態です。
●住民発意で乱開発を抑える『地区計画』を
 大村市議は、名鉄の梅坪駅の前にパチンコ店が建設された件を取り上げました。最初に建築の申請が出された時にはパチンコ店ではなかったのに、途中パチンコ店に変更された。しかし、建築構造上、基準に適合しているとして建設が許可されてしまいました。「市は何をやっているんだ」という住民の声を提起したものです。
その上で、「地域のまちづくりに規制力をもった『地区計画』を住民の側から提案してつくれないか。これは、都市計画法の改正により、可能になったが、『受け皿』としての条例が豊田市では整備されていない。条例化を求める」と迫りましたが、「現在のところ考えていない」との答弁でした。

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