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【06.02.12】「国民保護」を名目に戦争に強制動員する計画が…

 3月豊田市議会に「国民保護」法に関連する条例案が提出される予定になっています。議会での真剣な論議が必要です。
 「国民保護」法は、アメリカの戦争を支援する有事関連法の一つです。名目は、武力攻撃から国民を保護するための避難・救援ということですが、実際は、国民を戦争に強制動員するものです。
 法律としては「国民保護」法は制定されましたが、実際に国民を戦争体制に動員するには、県や市町村といった地方自治体が具体的な対応をしないとすすみません。そのため、政府は、「国民保護計画」を都道府県で今春までに、市町村で2007年春までにつくるよう求めています。すでに愛知県は2月1日付で、正式に「愛知県国民保護計画」を策定し発表しました。
●豊田市が「外国から侵攻」されることを想定?
 愛知県がこの計画で想定している武力攻撃のケースは、「武力攻撃事態」として(1)外国部隊の上陸侵攻(2)ゲリラや特殊部隊による攻撃(3)弾道ミサイル攻撃(4)航空攻撃(5)「緊急対処事態」として列車・航空機の爆破、放射性物質・生物・化学兵器を使用したテロ などです。
 しかし、どのように攻撃されるというのでしょうか。政府自身が「一概に言えない」としているように、現実の問題としてはほとんど想定できないものなのです。豊田市もこれにそった「計画」を策定しようというのでしょうか。
●市職員も24時間の当直体制か?
 にもかかわらず、事態に対応するため、「職員による二十四時間即応可能な体制確保する」(愛知県の『計画』書にはすでにこの文言で盛り込まれている!)ことを政府方針は義務付けています。市町村にも「当直等の強化」を求めていますから、この通りの計画を策定すると、豊田市でも市職員による「二十四時間即応可能な体制」として職員の当直など新たな負担が出てきます。
●地域の防災会も戦時訓練に動員される危険
 政府は、「国民保護」計画をすすめるために、対応訓練や資機材を使った実践的訓練も強調しています。愛知県の「計画」では、「武力攻撃事態等及び緊急対処事態」に対して計画の「実施能力の向上を図るため」「住民に対して、訓練への参加を要請する」として、市民をまきこんだ「戦時訓練」を行う計画を策定しました。豊田市が計画を策定する段階で、地域の消防団や自主防災会が「戦時訓練」にかり出される危険性があります。
 すでに、昨年十一月二十七日、全国初となる住民動員の国民保護実動訓練が福井県で行われました。訓練には自衛隊の装甲車、海上保安庁などのヘリコプター十機、巡視船十一隻が出動しました。住民からは、「テロを理由にした、あんな訓練はやってほしくない。これまでの防災訓練をもっとしっかりやってほしい」という声があがっていたと言われています。
●「大本営発表」のような情報統制や住民統制も
さらに、戦時体制づくりをすすめるため、自治体に「国民保護」の名で住民統制の「責務」を課しています。具体的には、民有地の強制使用や物資の徴発、交通規制などを罰則付きで強制的に行えるようにしています。
国民の自由と権利を制限する問題も重大です。政府の「基本指針」は、「制限は必要最小限のもの」などとしていますが、「集会や報道はあくまでも公共の福祉に反しない限り」(二〇〇二年五月九日福田官房長官=当時)というのが政府の見解です。戦争反対の声や運動が抑圧され、指定公共機関のNHKや民放も「基本指針」にそった報道計画の枠内で、戦前の「大本営発表」の二の舞いになる危険があります。
●民間コンサル企業が儲けを狙ってうごめく
「これまでに防災関連業務や危機管理業務で蓄積した技術やノウハウを活用し、都道府県の国民保護計画の策定業務をご支援します」…軍需企業や自衛隊出身者を研究員として採用している「三菱総合研究所」が、全国の自治体に配布しているPR資料の一文です。民間コンサルタントが「ビジネスチャンス」と見て、市町村を含めて二千近くに及ぶ自治体への営業活動を強めているのです。
実際に自治体が契約するケースも目立っています。福井県では、「テロ対策」や「インフラ防護」といった軍事部門のコンサルタントを請け負っている「独立総合研究所」と契約して調査をさせています。
●今やるべきは、9条厳守とアジアの平和の波に合流すること
一方で、日本にたいする突然の「直接脅威」については、政府自身が「可能性は低下」といっています。しかし、アメリカいいなりに海外派兵をすすめ、アメリカの先制攻撃戦争に参加すれば、それこそ、日本に対する「直接脅威」の可能性が出てこようとも限りません。今やるべきは、「国民保護」の名で、国民を強制動員するしくみをつくるのではなく、憲法九条を厳守し、アジア諸国とともに、世界とアジアの平和の流れを大きくしていくことではないでしょうか。

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