市議団だより−議会&市政の報告
【08.12.15】「公的保育を堅持し保育施設の拡充を求める」請願書
12月議会・教育次世代委員会で審議
「豊田のこども園を考える会」が提出した請願書に対し、根本市議が述べた紹介議員としての趣旨説明を紹介します。
私は、付託された請願の紹介議員として、請願趣旨に賛同し、是非とも、委員のみなさんに賛同を頂いて採択をお願いするため、以下、趣旨説明を述べたいと思います。
請願者は、よりよい保育環境を提供すること、親の収入や子どもの数による地域格差に関係なく、すべての子どもたちに平等に保育が受けられるようにするのが、市の責任であるとして4項目の実施を求めています。
今の「公的保育制度」のもとでは、保育に欠ける子どもに対する自治体の保育保障の義務、公的責任が明確になっています。また、自治体には児童福祉法に定められた「最低基準」を維持し、それ以上の保育をする努力をする責任があります。そして、保育園の運営の財源は公費で負担をすることが原則です。この制度のもとで、戦後60年以上の間、保育の公共性、継続性が保障されてきました。しかし、教育や保育の分野にも規制緩和をし、企業参入の容認、非正規保育士の導入制限緩和をすすめてきた国が、現在では、保育制度そのものの改悪への動きを急速に進めています。
現行の制度では、国の最低基準を満たす認可保育所への入所の希望者は市町村に申し込み、市町村が優先順に入所を決定しています。保育料は収入に応じて払う応能負担です。厚生労働省では、これを「利用者と事業者が直接契約を結ぶ方式を導入する、料金はサービスに応じた応益負担といった仕組みに変える」案が議論されています。
このような保育制度の改悪は、保育の市場化の拡大が目的であり、これまで公立や社会福祉法人を原則にしてきた保育の分野に、民間営利企業を積極的に参入させることです。保育に企業の参入を許してきた結果、企業経営の保育所「ハッピースマイル」が親企業の一方的な都合で突然閉園し、在園児が園を替わることを余儀なくされた事件まで起きました。こうした国の動きに対し、全国保育団体連合会が提出した「現行保育制度堅持・拡充」を求める国会請願署名が、第169回国会においても衆参両院で採択されています。現行保育制度の堅持・拡充を切望する福祉保育労働者や保護者の願いは、多くの国民・市民の声であります。
市として公立こども園の民営化を中止し、公的責任において保育をおこなうという姿勢を堅持してこそ、子どもたちの豊かな育ちが保障されると考えます。
また、1日8時間の保育時間は児童福祉法に定められた「最低基準」です。市には、それを維持し、それ以上の保育をする努力をする責任があります。
保育園給食の外部搬入の違法性について、児童福祉施設最低基準の一部改正がおこなわれ、「保育園給食は、その施設内で調理する方法により行わなければならない」と明確化されました。構造改革特区においては「公立保育所の外部搬入」が容認されていますが、その留意事項として「子どもの年齢、発達の段階や健康状態に応じた食事の提供や、アレルギー、アトピー等への配慮、必要な栄養素量の給与など子どもの食事の内容、回数や時機に適切に応じることができること。」とあります。市はアレルギーへの対応を、東部給食センターの改築に伴い実施するとしていますが、自園調理でこそ、子どもの発達段階や毎日の健康状態を考慮した給食、また、「子どもたちの心身の健やかな発達には何より「食」が重要であり、家庭や保育所が食育において重要な役割を有している」という「食育基本法」にもとった給食ができると考えます。
請願者が求めています請願項目は、豊田市の未来を担うこどもたちのために、保育の質を後退させることなく、豊かな保育を求めるものです。是非とも、委員みなさんのご賛同で採択をいただけることを願い、趣旨説明といたします。