市議団だより−議会&市政の報告
【10.09.28】9月議会での最終討論・・経済政策を転換せよ
9月27日、日本共産党の大村よしのり市議は、9月市議会での21度決算の採決にあたり、次のように意見を述べました。その要旨を紹介します。
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21年度の決算を一言でいうと、「従来のトリクルダウンの政策は失敗した」という事になると思います。トリクルダウンとは、「徐々に流れ落ちる」という意味で、アメリカを見習って日本がこの間すすめてきた政策です。富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がしたたり落ちるという経済理論でした。この方針で、大企業を応援していれば、経済社会もよくなる、こういう政策が続いてきました。
○市民の平均所得の落ち込みが激しい
豊田市民の現実はどうでしょうか。決算質疑で明らかになったのは、(1)平均所得が5年前に比べて、実に38万円も減っている (2)所得階層の推移では、所得10万円から200万円の低所得階層が1万8838人も増加している (3)それと符合するように就学援助が年々増加して5年間で1.3倍にもなっている (4)生活保護も増大し、「働く意志があっても雇用がないために申請されたもの」は230件にも達する、こういう現実です。
○中小零細企業の8割は赤字になっている
法人ではどうか。1番小さい規模の1号法人は5,639事業所で、市内全事業所の実に7割も占める多数派ですが、そのうち、利益が出て法人税割を納税できたのは、1,274事業所だけ、つまり2割あまりだけでした。あとの8割近くは、赤字でした。大企業の発展を支えてきた中小零細企業の8割が赤字をかかえ、存続の危機に立たされている、こういう現実です。市は、この間、産業立地の補助金を10年間で66億円出してきましたが、その上位5社だけで、全補助金の7割を占める46億3500万円が支払われていたことが質疑を通じて明らかとなりました。その上位5社は、市内の大企業とその関連企業でした。トヨタテストコース開発について、21年度だけでも13名の専任職員を配置し、その人件費は、1億3300万円も執行しました。
○『富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がしたたり落ちる』政策は、間違い
私は、大企業が、自らの力で生産を拡大し、儲けを増やすのは、大いに結構な事だと思います。日本共産党は、大企業敵視ではありません。しかし、政治と行政が、直接、税金まで投入して応援する必要があるのか、その事を申し上げたいのです。
これまでは、トリクルダウンの経済理論で、そういう政策をとってきたのかもしれませんが、トリクルダウンしないことがはっきりしました。税金で補助しても、大企業は、内部留保に溜め込むばかりで、内需拡大に循環しないのです。内需が拡大しないから、もっぱら、輸出だのみの経済となり、アメリカや中国との関係で、絶えず行き詰まっています。
このように、21年度の決算から明らかになった経済政策の問題点を転換し、労働者や中小企業への支援を中心とした、所得再配分政策に切り替えるべき事を強く求めます。