市議団だより−議会&市政の報告
【11.02.23】3月議会、大村市議の一般質問…深刻な豊田PCB処理施設の漏洩事故について
抜本改善なしで操業再開認めるな
2月23日、日本共産党の大村よしのり市議は、3月議会の一般質問で、豊田PCB処理施設の漏洩事故についての市の対応をただしました。
◆今回で事故による3度目の操業停止は重大
PCBの処理を行っている日本環境安全事業株式会社豊田事業所、通称JESCOが、昨年11月から12月にかけて、連続的に漏洩事故を起こしました。事故による操業停止は3回目になります。
PCBは、大変、毒性の強い化学物質であり、すでに製造・使用・輸出入が禁止されています。その処理を行っている施設での漏洩事故ですから、深刻です。
事故を受けて、1月17日、日本共産党豊田市議団は、日本共産党国会議員団と一緒に、この施設に調査に入りました。大村市議は、それをふまえて質問をしました。
◆施設側の安全管理の認識が低すぎる
事故の概要は、昨年11月19日、施設の点検のために排気管が取り外してあった箇所から液漏れがあり、その液にPCBが含まれていたという事です。
大村市議は、「そもそも、排気管がはずれていても運転ができてしまうような施設の構造、運転管理の実態はおかしい」と厳しく指摘しました。
同時にJESCOは、「漏れた液にPCBは含まれていない」と考えて処理していたと報告していますが、施設の設計図書には、はずれていた排気管の区間ではPCB濃度は高い事をうかがわせる記述がされており、「PCBは含まれていない」とJESCOが認識したというのは、ウソではないか、ウソでないとすると、認識そのものが低すぎると指摘し、市の見解をただしました。
市の答弁では「危機管理上、甘さがあった」と認めました。
また、答弁では、汚染処理作業を行った作業員は3人とも派遣労働者であり、事故処理を現場で指揮したのも派遣労働者の「班長」であった事を認めました。
◆派遣社員だけで1日16時間を管理している施設!
さらに大村市議は、豊田PCB処理施設では、3つの雇用形態があると指摘しました。1つは、JESCOの職員31名。2つは、JESCOから委託されて現場の施設運転をしている豊田環境サービスの職員41名。3つは、その豊田環境サービスに派遣されて、実際の作業にあたっている派遣労働者101名(派遣会社13社からの派遣労働者。平均勤続2.8年)という3つの労働形態になっている事。そして、派遣労働者の方達が現場作業の多くの行っている事を指摘しました。
しかも、各職員の勤務体制は、JESCOの職員は、日勤のみ。豊田環境サービスの職員も、基本的には日勤。したがって、日勤以外の時間、夜から朝にかけて、1日のうち16時間は、派遣労働者だけで作業していることを確認しました。
大村市議は、「この危険な作業が想定される処理施設において、1日のうち、16時間は、派遣労働者だけで作業している体制というのは、妥当なのか。もともと、派遣労働というのは、派遣先の指揮命令を受けて行う労働だ。その指揮命令者がいない。派遣労働者の中で、班長を決めて、それで、事故の処理も判断させる。このような、勤務体制がはたして、労働法制に照らして適法なのか」と強く迫りました。
市の答弁では、「(労働法制について)違法性はない」と言うにとどまりました。
大村市議は、この施設の構造では「非管理区域」でPCBに触れる恐れがあること、施設が立地している所は市が作成した洪水ハザードマップでも高さ2メートルから5メートルの浸水地域になっている事などを指摘しました。
◆抜本的な改善なしに、操業の再開を認めるべきでない
大村市議は、市民の安全を確保する意味でも、施設面、労働関係を含めた運転体制の抜本的な改善が行われるまで、操業の再開は許されないと指摘し、市が運転の再開を認めるべきではないと迫りました。
答弁では、「再開に向けてスタートラインに立った」と述べました。あくまで、再開を前提とした監督指導にとどまっている問題点を強く感じさせました。