市議団だより−議会&市政の報告
【11.03.02】市長と議長に申し入れ…豊田PCB処理施設の操業再開を認めず、安全操業のための十分な検討を求める
日本環境安全事業(株)豊田事業所(JESCO)のPCB漏洩事故について、3月2日、市議会の環境福祉委員会が開かれ、委員会終了後に環境福祉委員長から調査報告書が提出されました。
「報告書」では9点の意見をのべています。しかし、それらの意見はいずれも「操業再開を検討するにあたり」としているように、操業再開が前提となっているものです。本来は、事故原因の究明と会社幹部の責任を追及する事が必要だと思います。さらに抜本的な改善が認められるまで、操業の再開を認めるべきではないと思います。
市当局は、この委員会の意見もふまえて、また、2月11日に開催された安全監視委員会における委員の意見を合わせて、3月3日にJESCOに対して意見書を渡す予定としています。
日本共産党市議団は環境福祉委員会に所属していませんでしたので、3月2日の環境福祉委員会を傍聴し、その結論をふまえ、独自に、市長と議長に申し入れを行いました。
市長への申し入れを以下に紹介します。
豊田市長 鈴木公平 様
日本環境安全事業株式会社豊田事業所(JESCO)の操業再開を認めず、安全操業のための十分な検討を求める申し入れ
2011年3月2日
日本共産党豊田市議団 大村義則 根本美春
JESCOが「再建計画書」の提出を区切りに近く豊田事業所の操業を再開すると言われています。また、同社は「豊田市の指導を受ける」としていていますが、市当局も同社自身の判断を尊重し、早期再開を認める方針である事が示されました。
豊田事業所が今回3度目の操業停止に至った問題を、わが党として3月市議会の一般質問において確認しました。答弁においても、いまだ未解明の部分が多く、また、同社が真摯に今回の事態を反省し教訓を生かそうとされているかを疑わざるを得ない問題点がある事も確認しました。
もともと豊田事業所の安全操業のためにはJESCOの自主的な努力を待つだけでは不十分であるとの趣旨で定められた市の監視責任と機能が果たされぬまま、会社の言いなりで操業再開を認めることは許されない事だと言わざるを得ません。
よって我々は、現状での豊田事業所の操業再開を認めず、市並びに市議会が十分な検討のうえで、責任ある判断を下すよう、以下の点を指摘し申し入れるものです。
1,「自主的な操業停止」からの操業再開という見地を市当局として持っておられるようですが、そもそもの発端は、外部からの指摘を受けて初めて複数の漏洩事実を「公表」するにいたったものです。しかも、当初はPCBの含有などに関する重大な事実誤認の発表がなされ、後に訂正される事態までありました。これらが示す同社の当事者能力の問題点が「再生計画書」にはまったく触れられず、不問に付されている点は問題です。
2,全体として会社の「反省」と「再生計画」は、責任の所在を作業現場に求めるのみで、会社全体の問題点の深い検討をさけ、幹部の責任を不問に付している点は問題です。今回の漏洩事故に対する幹部の責任の取り方を明らかにさせるべきです。
その端的な一例が、11月19日の事故時、当初は漏洩した液体にはPCBが含まれているという認識を持たずにふき取り作業などが行われていたことであります。よしんば認識を持たない作業員が現場の初動に当たっていたとしても、事故発生時にはすでに出社していたはずの会社幹部までもが、現場の認識の如何に関わらず持つべき的確な認識をもてるだけの技術的知見に欠けていたのか、あるいは知見と認識を持ちながら、的確な対応を指揮せずにいたのか、いずれにしても重大な問題として究明されなければなりません。
またわが党の調査で明らかになり、新聞も報じた派遣社員依存の運転・管理体制の問題をはじめ、さらに改善されなければならないいくつもの疑義が残ったままであります。
3,今回の問題が発覚する発端として、内部からの情報提供者の存在が明らかになっていますが、その人物は、JESCOが今日開示している情報に関して、事実の相違などがあると述べ、必要なら議会などの聴聞に応じる用意がある旨の表明しています。ところが他方では、会社から種々の圧力を受けているとの重大な情報が、新聞により報道されています。また、そうした情報はわが党も当人との連絡によって確認されています。したがって、市当局、並びに議会がこの人物の主張を十分聴取し検討を加えることは、豊田事業所の運転再開に関して的確な判断をするために不可欠であると考えます。