市議団だより−議会&市政の報告
【14.09.25】9月議会報告 決算質疑
トヨタは5年間税金ゼロだったと社長さんは言ったけれど…豊田市へもゼロだったのか
日本共産党の大村よしのり市議は9月議会の決算質疑で、企業利益にかかる税収である法人市民税について質問しました。
法人市民税は、リーマンショック前の平成19年度には491億円、20年度には381億円もありましたが、21年度で34億円に激減。以降、平成25年度まで50〜60億円という激減した水準で、この5年間推移してきました。
※左記上グラフを参照。
大村市議は、「トヨタ自動車の豊田章夫社長が記者会見で、『社長になってから国内では税金を払っていなかった』と述べられたが、トヨタ自動車からの法人市民税は0だったのか」と質問しました。
答弁では、「個別企業の税情報について答えられない」としつつ、9号法人(大企業)は市内に67あるが、納められた金額は9号法人(大企業)全体で11億5千万円でしかない事を答えました。ここからも、トヨタ自動車からの法人市民税収がほとんどゼロに近かったであろうことが推測されます。
◆黒字から欠損金を相殺
リーマンショックの影響でトヨタ自動車の営業利益(連結決算)が赤字になったのは、2009年3月期決算だけで、後は黒字が続き、2014年3月期では、過去最高を更新して2兆2900億円余となりました。
しかし、豊田市に入る法人市民税の額は、先にも示した通り少ないままで推移してきました。これはどういう事でしょうか。
大村市議は、質問を通じて、2つの要因を指摘しました。
1つは、赤字(欠損金)を、翌年度以降9年間繰り越して、黒字と相殺できるという「欠損金繰越制度」により、リーマン・ショック時の欠損金で黒字を相殺して、かかる税金を少なくした事です。しかし、欠損金の処理だけでは、「大きな黒字」を相殺しきれず税金ゼロにはなりません。
◆海外子会社が稼いだ利益「配当」に税金かからず。大きな影響が出る
2つ目の要因として指摘したのが、リーマン・ショック後の2009年度から新たにつくられた「外国子会社配当益金不算入制度」です。この制度により、トヨタ自動車の海外子会社が現地生産・販売して稼いだ利益から分配された「配当」を国内の本社に戻す場合は、税法上の益金に算入されずに税金がかからなくなりました。
大村市議は、「法人市民税の収入にも、この影響がとても大きく出ていると思われる。市はどのようにとえているか」と質問しました。
答弁では、「一定影響はあると考えられるが、市としては直接的な影響について確認できない。今後の影響についてわからない」と答えるにとどまりました。
トヨタ自動車は、リーマン・ショック以前は、国内で生産した自動車を海外に輸出して稼いだ「営業利益」が中心でした。リーマン・ショック後は輸出が減り、海外子会社が現地生産・販売して稼いだ利益からの「配当」が利益の中で大きな比重を占めるようになりました。
このような収益構造の変化と、それに伴い、多国籍大企業応援の税制改変が重なれば、国の税収、市への税収に大きな影響が出るのは明らかです。