3月議会 議案や請願について日本共産党市議団の討論原稿

3月議会 議案や請願について日本共産党市議団の討論原稿

 豊田市議会にて3月23日(金)、3月定例会に上程された議案などについて、賛成や反対の討論が行われました。日本共産党市議団からは根本みはる市議が討論に立ちました。
 以下は討論原稿の全文です。概要版は豊田民報779号(PDF)を、上程された議案などは豊田市議会HPをご覧ください。
 討論の結果は、議案は全て原案可決、請願は不採択になりました。

 私は、日本共産党豊田市議団を代表して、上程されました議案のうち、通告しましたように、2つの議案と請願については賛成すべき討論を、22の議案については反対すべき討論を議案番号の順に従って行います。

◆議案2号 幼保連携型認定こども園以外の認定こども園の認定の要件を定める条例について、反対討論を行います。

 子ども子育て支援新制度により、保育基準の緩和が持ち込まれた結果、地方裁量型認定こども園の事業者の法令違反という姫路市の事件となりました。公費投入の対象としながら監査は自治体任せという、新制度の根本的な問題が、今や明らかであります。このような問題を抱えたまま、地方裁量型認定こども園の認定、運営への公費投入を認める本議案には反対すべきであります。待機児童対策は、市の公的責任を明確にした保育所の整備で行うべきことを申し上げます。

◆議案3号 個人情報保護条例の一部改訂について、反対討論を行います。

 昨年5月、総務省から「個人情報保護条例の見直し」に関する通知がだされております。それによると、「法改正等の趣旨を踏まえ、地域の実情に応じた適切な個人情報保護対策を実施するため、個人情報保護条例の見直しに取り組むこと」としつつ、一方で「地方公共団体の保有する個人情報についても、その適正かつ効果的な活用は、新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな生活の実現に資するものであると考えられる。」としています。
 つまり、条例改定の根拠とされている「行政機関の保有する個人情報保護に関する法律の一部改訂」は、行政の持っている匿名加工情報をビッグデータとして民間に利活用を図っていく事を前提とした法改訂であるという事であります。今後、市民の個人情報が、このような形で利活用されれば、リスクにさらされる危険性があるという事を指摘して、本議案に対する反対討論といたします。

◆議案5号 市議会の議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部改訂と、議案6号 特別職職員の給与を定める条例の一部改訂について、趣旨が同様でありますので一括して反対討論を行います。

 いずれの議案も、期末手当を引き上げるというものであります。この引き上げについては、報酬審議会の審議をおこなっていないため、社会的情勢との連動が検討されておりません。さらに言えば、NHKの直近・1月の世論調査に見られるように、景気回復を実感しているというのは17%あまり、実感していないというのが76%に上っている事に示されるように、引上げに対する市民の理解を得ることは難しいと考え、反対すべきとする討論といたします。

◆議案8号 市職員退職手当条例等の一部改訂について、反対討論を行います。

 この議案は、人事院勧告にもとづく「官民比較」を根拠に、市職員の退職手当を引き下げるものであります。退職手当は、そもそも賃金の後払い的性格を持つものであります。さらに言えば、公務員の場合、民間の労働者のような退職後の失業保険給付は受けられない事も考慮に入れれば、「官民比較」が単純ではない事を指摘するものであります。この引き下げが、退職後の生活設計に重大な影響を及ぼし、若手職員からも働きがいを奪うことになるという事を申し上げ、反対討論といたします。

◆議案12号 手数料条例の一部改訂について、反対討論を行います。

 介護保険の改定により、長期療養する介護療養病床などを廃止し、新たな受け皿としての介護医療院の新設が行われることになりました。今後、医療費削減を理由とした基準の切り下げが検討されることにより、現場の人材の質の低下が心配されます。この介護医療院の開設許可申請の手数料の設定が含まれる本議案には反対であります。

◆議案19号 旅館業の施設の衛生措置及び構造設備の基準等に関する条例の一部改訂について、反対討論を行います。

 国会において成立した民泊新法は、安全や衛生などの確保を定めた旅館業法の許可がないままの「違法民泊」を、事実上、合法化し野放しにするものです。各地でトラブルが発生し、厚生労働省の民泊実態調査で無許可営業も放置されており、本来、違法な民泊への監視・指導の徹底をすべきところ、本議案は最低客室数やフロントの設置を義務付けた規制を緩和し、多様な宿泊施設の整備を促すものであり、反対すべきとする討論といたします。

◆議案21号 国民健康保険税条例の一部改訂について反対討論を行います。

 この議案は、国保の都道府県単位化による条例改訂であります。都道府県単位化は、国が都道府県を通じて、医療費抑制、提供体制の「適正化」を行うことを目的とするものであり、国保税の基準となる国民健康保険事業費納付金は、県が決めることが、答弁により確認されました。市は納付金を全額納めなければならないため、国保税の値上げになりかねないしくみであることから、反対とすべきであります。

◆議案22号 介護保険条例の一部改訂について反対討論を行います。

 要支援1・2の方は、介護保険の対象から外され、介護認定を受けず、基本チェックリストで判断させる制度変更の一方で、保険料の値上げは繰り返され、第7期介護保険事業計画では保険料基準額の4,800円もの値上げで、ますます「保険あって介護なし」の制度であることを指摘し、反対討論といたします。

◆議案23号 指定居宅サービスの事業等の人員、設備、運営等に関する基準等を定める条例の一部改訂について反対討論を行います。

 本議案は、介護医療院を新設する、介護保険制度改定の実施であります。議案12号で述べましたような問題を指摘し、反対すべきとする討論といたします。

◆議案24号 後期高齢者医療条例の一部改訂について反対討論を行います。

 後期高齢者医療制度が導入された当時、国民の多くが制度の廃止を訴え、国会では制度の廃止法案を日本共産党と民主党、そして他の野党と共同して提出をした経緯があります。本議案は75歳という年齢に達したら有無を言わせず加入させられ、保険料を取り立てられる制度の本質は変わらないため、反対すべきとする討論といたします。

◆議案29号 市民山の家条例を廃止する条例について反対討論を行います。

 この案件について、市民から3736名の署名がつけられて請願が提出されているように、市民意見との調整が熟さないままでの廃止を決定する事は問題であります。その点で、反対すべき事を申し上げ討論といたします。

◆次に、予算関係議案について討論を行います。

 平成29年度補正予算の議案31号、32号、38号、40号であります。これは、一般会計補正、国民健康保険特別会計補正、介護保険事業特別会計補正、後期高齢者医療特別会計補正でありますが、すでに、29年度当初予算の審議の際に指摘した問題点を含んでいる中での補正でありますので、反対すべきという事を一括して申し上げて反対討論といたします。

◆次に、平成30年度予算については、議案44号、45号、51号、53号であります。

 これは、一般会計、国民健康保険特別会計、介護保険事業特別会計、後期高齢者医療特別会計でありますが、反対すべき討論をそれぞれ述べます。

 まず、一般会計予算であります。

 いわゆる戸別受信機・防災ラジオのための関連予算や中学校の教室へのエアコン設置をすすめる予算など、市民のくらしと福祉に役立つものとして評価できる面をあげておきたいと思います。しかし、問題点をいくつか指摘しなくてはなりません。以下、5点にわたって述べてまいります。

 ①歳入の問題では、原発関係の電源立地地域対策交付金は2,360万円余を豊田市からの申請によって歳入に計上することが答弁で明らかとなりました。これらの交付金は、平成14年から受け取った分を含めると4億5千万円を超えるものであります。すべて返納すべきであります。

 ②歳入・法人市民税に関して、標準税率である12.3%の課税権を持っているものを、9.7%にされて、その差2.6%分が国の課税分にされております。さらに消費税10%の実施に際して、3.7%分を加えて国の課税分にされるわけであります。新年度予算ベースで計算すれば、合わせた6.3%分は、194億円にものぼる事が答弁で確認できました。きわめて不当な扱いであります。地方税法では、自治体の判断で標準税率を超えて課税する権限を定めているわけでありますから、この際、制限税率の上限まで超過して課税すべきことを申し上げたいと思います。現時点で12.1%の制限税率まで課税すれば74億円余を見込める事も答弁で確認した事を付け加えておきたいと思います。

 ③歳入・固定資産税に関して、大規模償却資産課税について財政力指数1.6を超えて県課税分となったのは予算ベースで27億7千万円余である事が答弁で確認できました。先に述べました、国課税分と合わせると、本来、豊田市としての自主課税権の相当金額を国と県に持っていかれるのでありますから、再度、市としての自主財源の確保の観点から、法人市民税の超過課税を実施すべきことを申し上げておきたいと思います。

 ④歳出について、豊田スタジアムに関する収入と支出、差し引きした市としての「持ち出し分」を日本共産党市議団として、この十数年間、質問してまいりました。新年度予算では、答弁によれば356,400万円ということでありました。スタジアム建設当初の差し引きの額は、4億円余でありました。近年では9億円前後でありました。この十数年の、市からの「持ち出し分」、つまり税金投入が累積でいくらになっているのか考えるべきであります。新年度は、ラグビーワールドカップの準備で費用が加算されているわけでありますが、毎年の市の持ち出し分をどうするかという根本問題を右において、当面のイベントのために、さらなる多額の支出を繰り返す方式は改めるべきであり、この間、述べてきたように抜本的な対策をとるべきことを提起するものであります。

 ⑤市の公的な仕事を次々に民間にゆだねていく予算も問題であります。放課後児童クラブの運営、こども園の民間移管、中央図書館や給食センターを民間企業で運営するなどの予算など計上されていますが、教育・子育て分野の公的責任を後退させるものであります。さらに、市の介護認定審査まで民間にゆだねるなど、福祉分野にまで広げておりますが、このようなやり方には、反対であります。

 以上の点をふまえて、一般会計予算案に対して反対すべきとする討論といたします。

◆次に、特別会計についてであります。

 ①国民健康保険特別会計について。

 国民健康保険が都道府県単位化される平成30年度から、市は国保会計の一般会計法定外繰入を削減・解消する計画を策定することになり、今後において、高い国保税の値上げが心配され、本議案には反対であります。

 ②介護保険特別会計について。

 介護サービスの自己負担引き上げなどを盛り込んだ介護保険法等の改悪内容が反映された議案であり、介護サービス事業所の人材不足の解決にはほど遠く、「保険あって、介護なし」の事態は悪化するばかりであり、反対であります。

 ③後期高齢者医療特別会計について。

 5割軽減がされていた低所得の方の所得割が、平成30年度は廃止になり、約4000人の方が影響を受けることが確認されました。中でも、年金収入のみで168万円の方は、前の年度より1,500円、8,2%も値上げとなることから、大幅な負担増を強いる本議案に対して反対すべきとする討論といたします。

◆議案58号ならびに議案59号 工事請負契約の変更(一級河川安永川開水路整備工事、高橋細谷線関連および長興寺工区)について、関連がありますので一括して賛成討論を行います。

 これら、安永川関連の工事請負契約の変更については、必要なものと認めて賛成をするものでありますが、意見を付加して議決するものである事を討論として申し上げたいと思います。この安永川関連の工事請負契約については、この間、議会で議決をした後に、再度変更手続きの議決を行った件が、日本共産党の質疑への答弁で11回にも上る事が明らかになりました。議会の議決行為というのは、大変重いものであり、今後、同様の変更手続きの議決に付すことが繰り返されないように、十分に精査をされて契約の提案がされるべきことを申し上げて、討論といたします。

◆議案62号 特定事業契約の変更(豊田市東部給食センター改築整備運営事業)について反対討論を行います。

 保育所においては、給食の外部搬入が認められていなかった時代から、本市では民間委託と違法な外部搬入がおこなわれてきました。今回、14園もの保育所等の給食を調理していた民間調理会社の倒産という事態となっても、保育所給食のあり方そのものの検討がされていない点は問題であります。加えて、これまでも給食センターのPFI方式に対しては、福祉や、教育部門などに採算性や利益を追求するため、その事業自体がゆがんでいく危険性を指摘して参りましたが、これらの点から本議案には、反対すべきであります。

◆議案65号 豊田市教育行政計画の策定について反対討論を行います。

 日本共産党市議団として、第2次教育行政計画までは賛成をしてまいりました。それは、何よりも、豊田市の教育が周辺自治体に先駆けて少人数学級の拡大をすすめてきた事に象徴されるように、教育行政を前進させる基本方向を持っていたからであります。ところが、その少人数学級では、隣のみよし市が小中学校の全学年に拡大する方針を具体化したと伝えられる一方、豊田市では止まったままであり、基本方向が変更されてしまいました。

 このような基本方向の変更にもとづく第3次教育行政計画には反対すべきことを申し上げ、討論といたします。

◆最後に、請願1号 「リゾート安曇野」の存続を求める請願書について賛成討論を行います。

 請願者が求めております請願事項の2点を妥当と考え、請願を採択すべきことを申し上げ賛成討論といたします。

 以上、全ての討論を終わります。