9月定例会の最終日・9月24日、市議会に提案された議案について各会派が、賛成か反対か本会議場で表明する討論が行われました。
日本共産党のそれぞれの議案についての見解は、以下の根本みはる市会議員の討論原稿をご覧ください。日本共産党以外の会派、根本みはる市会議員以外の市会議員は、全ての議案に賛成しました。
提案された議案と議決結果は、豊田市議会HPの議決結果一覧をご覧ください。
9月定例会の議案討論 根本みはる
私は日本共産党として、議案及び承認案件について通告に従い討論を行います。
まず、議案92号 豊田市立南部休日救急内科診療所条例について、賛成の討論を行います。
南部地域の救急医療体制の充実については、地域住民の強い願いであり、救急診療所の設置には、住民の期待が大きく寄せられております。医師、看護師の安定確保を確実に行うとともに、夜間の救急患者への対応、診療所までの公共交通といった重要課題への対策を提起し、賛成の討論といたします。
議案93号 子ども・子育て支援法の一部改正に伴う関係条例の整備に関する条例について、反対の立場で討論を行います。
指摘すべき点として
①幼児教育・保育無償化は、消費税増税とセットで実施されるものであります。全体としては、保育料については子育て世帯への負担軽減になる一方、従来から、低所得世帯、ひとり親世帯には、保育料の軽減が図られており、無償化の恩恵より、消費税増税による家計への負担が増大する点
②幼児教育・保育無償化の対象は、保育料に限定され、給食費は一部を除いて、無償化されない点。
③待機児童の受け皿として、保育所への認可化は進めるものの、認可外保育である企業主導型保育を5年間無償化の対象とし、さらにこの施設は増えることが見込まれます。この事業を推進してきた内閣府自らも、全国で急増している企業主導型保育について、保育の質や事業継続性の面での課題が多く、入所児童の確保や保育士の確保が円滑に行われず、定員割れ、休止等につながったと、明らかにしている点等であります。
無償化の土台は、保育士確保と保育の質の向上として、保育の公的責任を堅持し、増税に頼らない財源確保で、給食費を含めた完全無償化にすべきことを申し上げ、反対の討論といたします。
議案104号 豊田市立保育所条例の一部を改正する条例について、こども園の民間移管に関わって、反対討論を行います。
市と事業者との協定書により、市の保育師と民間保育師が役割分担で共同保育をおこなっているとの説明であります。共同保育における雇用形態では、民間保育士は、事業者の雇用のまま、指揮命令は市の職員である園長のもとで勤務しているということで、派遣でも請負でも無い、雇用関係が明らかにされないままの民間移管は中止すべきであり、議案第104号には反対すべきであります。
議案107号 豊田市都市公園条例の一部を改正する条例について反対すべきとする討論を行います。
広大な緑地と広場を有する鞍ヶ池公園に、指定管理制度を導入し、その上に、公募設置管理制度により、公募対象公園施設を設置する場合の建蔽率を12%まで拡大することで、民間活力導入による「収益性」が優先され、緑地と市民の憩いの場を確保するという市の責任が後退するものであり、反対すべきであります。
つぎに、議案109号 豊田市水道事業給水条例の一部を改正する条例
議案110号 豊田市公共下水道条例の一部を改正する条例
および議案111号 豊田市汚水処理施設条例の一部を改正する条例について、いずれも消費税の10%への増税により、市民の負担を増やす条例改定であり、反対すべきであります。
続いて、補正予算議案のうち、議案112号 令和元年度一般会計補正予算について、反対討論を行います。
この補正には、個人番号カード交付促進のための補正が含まれておりますが、個人番号カードについては個人情報の漏洩やカードの紛失、盗難といった重大な事例から、個人情報保護への不安が増しております。そのような中、今年の通常国会で、マイナンバー法等に関する「デジタル手続き法」が成立し、行政の手続き、業務に用いる情報を現在の紙の通知カードの廃止で、半ば強制的にデジタルデータ化することを背景とした対応であり、反対討論といたします。
次に、議案113号令和元年度介護保険事業特別会計補正予算について、反対討論を行います。
これは市の介護認定調査員の業務の民間委託を拡大する補正であります。市が行う主要な業務である認定審査の民間委託の拡大は、市の責任においてこれまで行ってきた介護保険の根幹を変えるものであり、本議案は問題であることを指摘し、反対討論といたします。
次に、4つの承認案件について、それぞれ認定に反対する討論を行います。
承認6号平成30年度豊田市一般会計決算について、主な点を指摘し、反対すべきとする討論を行います。
歳入、市民税のうち法人市民税は、海外展開を広げる多国籍大企業が利益を拡大しながらさまざまな税法上の軽減措置を受ける一方で、法人の数では市内の事業者の71%を占める1号法人、小規模事業者の圧倒的な部分は法人税割の税金を納められていません。
答弁によれば、6,115の1号法人のうち、法人税割が納められたのは2,115事業所であります。あとの4000の事業所は1号法人の65パーセントを占める規模で、法人税割の税金を納められず、赤字であります。このことは、景気回復という状況は一部にとどまり、格差がさらに広がったことを税収の実態で示したものであります。
次に、歳入、原子力発電関係の電源立地地域対策交付金についてであります。
答弁によれば決算額は2,333万円余であります。平成14年度から受け取っているものであり、平成30年度決算までの総額は4億5,520万円にもなることが答弁により確認されました。危険な交付金は、全額返納すべきであります。
次に、歳出 職員の人件費について。
職員の非正規率がフルタイム換算しても、教育保育職で32.9%、技能労務職で63.4%にもなり、市が率先して正規雇用を増やしてくことが求められます。一方、職員による年間の残業は、答弁によれば、総人数は2082人、総残業時間は31万3021時間、1人あたり150時間にもなり、一番多かった職員は年間753時間で、次いで722時間、718時間にも達していました。一層の残業削減、職員定数の拡大が必要であります。
また、豊田スタジアムを中心とした中央公園費の歳出では、使用料収入などを差し引いても管理や整備にかかった市の持ち出し分は19億5,400万円余に及ぶことが明らかとなりました。市民の福祉や暮らしに対する税金の使い方とのバランスの観点から市民に説明する責任があり、合わせて、豊田スタジアムの管理のあり方を、今一度検討する必要があることを、申し上げておきます。
決算の内容では、市の公的な仕事をさらに民間にゆだね、こども園の民間移管、中央図書館や給食センターの民間企業での運営に加え、介護認定審査まで民間にゆだねてきました。中でも、市の放課後児童クラブ支援員が平成29年度に比べて87%も大幅に減っているのは、営利企業などへの委託によるものであります。これらは、教育・子育て・福祉分野の公的責任を後退させ、住民福祉の向上とますます離れているという点を指摘し、本決算の認定には反対すべきであることを総括的に申し上げてこの討論といたします。
つぎに、承認7号、承認13号、承認15号の特別会計決算について、反対の討論を述べます。
国民健康保険特別会計決算について。国民健康保険の県単位化の初年度であり、激変緩和が行われる一方、高い保険税は改善されず、滞納件数、差し押さえ件数から見える加入世帯の暮らしの実態は深刻であります。国民健康保険税は払える金額にすべきであります。
介護保険事業特別会計決算について。本特別会計決算では、第7期介護保険事業計画で値上げした保険料基準額が、そのまま執行されました。保険料負担は増えても、入所の待機者が残される制度の問題が反映されたことを指摘するものであります。
後期高齢者医療特別会計決算について。平成30年度予算で指摘した内容として、低所得の方の保険料が改定により上がったまま、負担増を押しつける、世界でも例のない高齢者いじめの仕組みであり、廃止されるべき制度であります。認定に反対の討論といたします。
以上で全ての討論を終わります。