市議団だより−市議団の主張
【10.10.23】世界の視点から、「公務員削減」問題を考える
いま、公務員の定数や賃金の削減など「公務員削減」を強調する議論が、しばじば聞かれます。世界の視点からみてみましょう。
◇世界最低水準の公務員数 教育・安全分野が不足する人員◇
公務員の国際比較はどうでしょうか。人口1000人あたりの職員数(政府、地方、政府企業、軍人、国防職員 2008、2009年)で見た場合、フランスは86・6人、アメリカは77・5人、イギリスは77・2人、ドイツは54・3人に対して、日本はわずか31・6人にしかすぎません。
この結果、国民生活を守る上で、人員が足りない分野が数多く生まれています。例えば、教育分野では、日本の教職員は生徒1000人当たり85・3人。小中学校だけでもEU水準(125人)にするには、36万人の増員が必要です。消防職員は、この10年間でみると、1年平均600人の微増ですが、国が定める「消防力の整備指針」で必要とされる20万6367人に対し、15万6758人と5万人足りません。雇用や中小企業を守る労働基準監督官や下請け代金検査官も、全く不足しています。監督官は約3000人。事業所を毎日一カ所回っても、3・7年かかります。検査官はわずか84人。監督官同様、事業者を毎日一カ所回っても、7・4年もかかります。これでは、国民の期待にこたえる行政サービスを果たせないことは明らかです。
◇世界最低クラスの人件費◇
では、人件費はどうでしょうか。これも、主要国最低クラスです。人件費をその国のGDP比でみると、デンマークは16・9%、フランスは12・8%、イギリスは10・9%、アメリカは9・9%、ドイツは6・9%ですが、日本は6・2%にすぎません。OECD23カ国の平均が10・4%ですから、その6割にしか過ぎないのです。しかも、「官製ワーキングプア」と呼ばれる低収入の臨時・非常勤職員が急増しています。国の行政機関の非正規職員が14万3000人、地方と合わせると70万人近くが非正規職員となっています。
正規職員を削減し、非正規に置き換えてきたことを反映し、国の一般会計に占める公務員の人件費は、1975年には20・6%あったのが、2005年には9・6%まで半減しています。