市議団だより−議会&市政の報告

【16.09.17】豊田市の法人市民税は減ってるの?

トヨタはリーマンショック前より利益拡大してるのに

 「トヨタの利益が回復したので、豊田市の税収も、さぞかし増えたでしょうね。なんせ、過去最高の利益だとテレビで言っていたよ」と、他市の人はよく言います。しかし、「リーマンショック前の水準より、法人市民税は少ないんですよ」と言うと驚かれます。
 日本共産党の大村よしのり市議は、13日、9月議会の決算質疑で法人市民税について質問しました。
◆大村…リーマンショック前の法人市民税の過去最高額は?
◇答弁…平成19年度で491億3千万円
◆大村…27年度の決算額は353億
7千万円。少なくなった要因を項目ごとに金額で示されたい
◇答弁…法人税減税(30%から25.5%)で60億7千万円。市の税率12.3%から9.7%(一部国税化の措置)で35億8千万円の減額影響となっている。
◆大村…その2つの要因を足すと96億円余だ。それを差し引きしても、なお、41億円余も少ないのはなぜか。市内大企業(トヨタ自動車)は、リーマンショック前の最高利益を超えて、それを更新し続けている。にもかかわらず、豊田市への税収は、逆に減っている。ここが問題ではないか。
▽法人市民税は企業の利益額に税率をかけるもではない
 豊田市の法人市民税は、企業の利益額に税率を掛けて算出するものではありません。企業が国に収める法人税の額のうち、豊田市分(全国に事業所があるので、豊田市分を按分して申告する)に市の税率を掛けて算出します。
 そうすると、国に収める法人税の税率が下がるとその分、市の法人市民税も少なくなります。さらに、法人税段階で、様々な大企業優遇税制によって減額措置を受けると、さらに、市の法人市民税も、それに応じて少なくなってしまうのです。
▽大企業優遇税制が「税の空洞化」をすすめ豊田市の税収にも大きな影響を
 平成27年度の法人市民税額が少ない要因として、表面化している法人税減税と一部国税化以外に、隠れた要因が大きいと思われます。
 一つは、「研究開発減税」です。政府資料によれば、減税額が最も多かった企業は1084億円です。同資料は企業名を公表しませんが、その企業の収益状況からトヨタ自動車であると推定されます。その減税規模がリーマンショック前と比べても拡大していると思われます。
 さらに、大きいのが「外国子会社配当益金不算入制度」です。平成21年度から制度がつくられました。
 トヨタ自動車は、平成24年に海外生産比率50%を突破して以降、さらに海外生産の比率を拡大し続けています。この結果、「国内で生産し、輸出で稼ぐ」という従来の姿ではなく、「海外で生産し、稼いだもうけを国内に配当する」という収益構造に変化してきました。
「外国子会社配当益金不算入制度」は、海外の子会社から受けた配当について税法上の益金には算入せず、その分だけ法人所得を少なく計算することで税を軽減するものです。海外子会社からの配当が多いトヨタは、この恩恵をふんだんに受けました。
このような、大企業優遇税制という「隠れた」減税措置が、リーマンショック以降、さらに拡大し、法人税減税以上に減税がされているのです。当時よりも、さらに大儲けしているのに、払う税金は少なくなっているという「あきれた」状況になっています。

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