12月議会の議案や請願について大村市議が討論

12月議会の議案や請願について大村市議が討論

 大村よしのり市議は12月18日、12月議会に提出された議案と請願について討論を行いました。以下は、その原稿です。
 なお、議決結果については、こちらの豊田市議会サイトをご覧になってください。

12月議会 最終討論原稿

 私は、日本共産党豊田市議団を代表して、上程されました議案のうち、通告しましたように、議案91号をはじめとした4議案については反対討論を、議案99号と請願1号、2号については賛成討論を行います。

 まず、議案91号、企業立地奨励条例について反対討論を行います。

 これまで、同様の「企業立地」を主旨とする条例が2つありました。そのもとで、その補助金は、大半が大企業に支出されてきました。市内大企業への補助金は1社だけでも、この間の毎年の決算で確認してきた金額を積算すると50億円を超えておりました。一方で、法人税割の税収は、市当局が認めているように、今後、大きく減る見込みだとしております。その要因の大きなものが、自動車産業を中心とした多国籍大企業の海外生産が一層拡大し、法人税割に占める海外子会社配当益にかかる税金がゼロになった要因が大きいと、これも市当局から確認しているところであります。多国籍大企業は、空前の利益を拡大しております。しかし、税収は減っていく。そういう中で、「企業立地」の補助金の大半が大企業に注ぎ込まれるのであれば、まるで、底の抜けたバケツに水を注ぎこむようなものではないでしょうか。大企業は、自治体の援助などなくても、十分に利益をあげ、雇用を拡大する力があるではありませんか。それだけの奨励金を大企業に出すのならば、その分を、中小企業に支援する内容を各段に増やして、地域内経済循環を拡大していくように、条例処置としても考え直すべきであります。以上の意見をもって、反対討論といたします。

 議案92号、個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部改訂について反対討論を行います。

 マイナンバー制度に関する特定個人情報の漏洩は、議案質疑に対する答弁によると、全国で平成28年度165件、29年度は4月から9月の上半期ですでに273件にのぼり、年々増加している事が確認されました。ちなみに、273件の情報漏えいと報告されていましたが、これは件数でありまして、実は、その1件ごとに何人分の特定個人情報が漏れたのかは不明なのであります。膨大な、特定個人情報の漏洩が起きているのであります。しかも、事案の中には、地方公共団体によるものも少なくない件数がありました。
 マイナンバーが伴った名前や住所などの個人情報は、マイナンバーがつくことで、個人情報の“名寄せ”が簡単にでき、漏えいした際の危険は格段に高くなります。そのようなマイナンバー使う事務を拡大する事は大変危険である。この事を強く申し上げて、反対討論といたします。

 議案99号、市営住宅条例の一部改訂には、賛成討論を行います。

 低所得の若者の居住の自立が極めて困難であり、自立した若者が厳しい住宅事情におかれている実態がございます。そのような中、住宅保障は、若者が自立・家族形成を達成し、次世代を育てるという再生産の役割をはたすうえでなくてはならないものであると考えます。市営住宅で、その家族形成期を支援するという考えには賛同するものであります。ただし、答弁で明らかになったように、市営住宅の戸数そのものは増やさない方針であることや、家族形成期における支援の最大の要件は経済的に安価な家賃という要件である事を考えると、さらなる改善が求められることを加えて、賛成討論といたします。

 議案113号、特定事業契約の締結~北部給食センター整備運営事業について、反対討論を行います。

 この議案は、北部給食センターをPFI方式によって、建築から管理運営まで民間委託にする計画であります。そもそも、福祉部門だとか、教育部門などのように、採算性とか、利益を追求すると、その事業自体がゆがんでいく危険性があり、そういう部門への導入は慎重であるべきであります。とりわけ、業務改善でコスト削減ができるという説明でありますが、民間委託される事業運営の大部分は職員の人件費であり、同一の仕事であれば、民間でも直営でも人件費は同じであるはずであります。コスト削減で、労働者の賃金水準や労働条件が変わるとすれば、安上がりの労働を前提とするものであり問題であります。
 また、経営が破たんした場合には、民間ではリスクを負えず、そのツケを市民が払わされることは、先のこども園給食の一時中止の事態で明らかではありませんか。以上の内容を持って、反対すべきとする討論といたします。

 議案115号、都市計画に関する基本的な方針~都市マスタープランの策定について、反対討論をおこないます。

 都市マスタープランは、第8次豊田市総合計画の将来都市像の実現に向けた土地利用や都市施設整備、すなわち都市計画の基本を総合計画と整合性を合わせて策定されるものであります。
 私は、第8次豊田市総合計画の策定議案に対して、次のように反対討論を述べました。

 〇都市部・中山間地域にかかわらず、福祉・医療、少子化と高齢化、地域振興と若者の定住、防災・減災など、とりくむべき課題が山積している本市の状況の中、第8次総合計画として提案されている中身は、国が提唱する行政の集約化の方針にそった、都心と地域拠点への集中・集約の促進が柱となっているように受け止められる。
 〇この総合計画では「周辺」住民の声は「中心」に届きにくく、住民自治の後退も危惧される。

 このような、懸念は、本議案である都市マスタープランの策定にも同様に指摘せざるを得ないものであります。よって、反対すべき事を申し上げ、討論といたします。

 次に、請願1号、障がい児・者の生きる基盤となる「暮らしの場」の早急な整備を求める意見書を国に提出することを求める請願書について、紹介議員として、請願に賛同する討論を行います。

 障害があるがゆえに、何らかの社会的支援がなければ生きていけない障がい児・者は年々増加しています。現在の障害福祉施策は、居宅サービスはもちろん、グループホームや入所施設などの社会資源の絶対的不足が慢性化しており、結果として多くの障がい児・者が家族の介護に依存した生活を余儀なくされています。家族に依存した生活の長期化は、精神的にも経済的にも相互依存をより助長し、障がい児・者の自立をますます困難なものにしています。
 障がい者の権利保障・人権保障の課題は、「国際障害者年」「国連・障害者の10年」などの国際的な動きが高まり、2006年、国連において「障害者の権利に関する条約」が採択されました。2014年1月、日本もこの条約の締約国に加わりました。
 しかしながら、「暮らしの場」はいまだ障害児者とその家族が安心して生活できるものになっていません。2014年度に障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会がおこなった「障がい者の介護者の健康に関する実態調査」で障がい児・者と家族は、社会からの孤立と家族依存、老障介護等の現実の中での生活が続いている実態が明らかになり、生きる基盤となる「暮らしの場」の早急な整備は切実であります。
 以上のことから、障がい児・者と家族が地域で安心して暮らすことができるように、社会資源の充実を図るため、本請願について、委員の皆さんに賛同いただくようお願いし、賛成討論といたします。

 最後に、請願2号、介護・福祉・医療など社会保障の施策拡充についての請願書について、紹介議員として請願に賛同する討論を行います。

 国民健康保険の改善について、都道府県単位化に伴い、制度的に保険税の大幅な引き上げになる事が危惧されるものであり、請願者が述べているように市および、国・県に市民負担の軽減に向けての対応を求める事は、今、最も必要な要望であると訴えるものであります。
 また、格差と貧困の広がり、とりわけ子どもの貧困が問題になっているなか、子どもの貧困解決に社会全体でとりくんでいく事、福祉としての保育、権利としての保育をすすめる事など、請願者がもとめている子育て支援の項目の重要性も強調したいと思います。
 とりわけ、介護保険や医療の負担増に苦しむ高齢者の暮らしの実態から、請願項目にあげられた各項目の改善は、早急に対応が求められると考えます。
 ことし38回目を迎える自治体キャラバン要請行動は、県下すべての市町村を訪問して活動する中で、多くの要望が実現されてきました。例えば、子どもの医療費助成制度では、中学校卒業までの無料制度の実施自治体は、毎年拡大され、2016年度には県内87パーセントまで広がりました。このような運動の中で、本請願が提出されている事を、最後に強調し、議員諸氏の賛同を訴えて、賛成討論といたします。