6月市議会 議案と核兵器禁止条約についての見解表明

6月市議会 議案と核兵器禁止条約についての見解表明

 豊田市議会の6月定例会が6月25日(月)に終わりました。最終日に本会議で、議案や請願について日本共産党市議団の見解を表明しましたので、その討論原稿を公開します。

 核兵器禁止条約に日本政府も署名・批准するよう求める意見書を豊田市議会として提出を、と求める請願について各会派の態度は以下のとおりです。自民は反対、市民フォは反対、公明は反対(反対だが核兵器禁止条約は評価)、共産は賛成、とよた市民の会は賛成。

 議案や請願の議決結果については、豊田市議会HP「議決結果一覧」をご覧ください。

最終討論(6月25日、根本みはる議員)

 私は、日本共産党豊田市議団を代表して、上程されました議案のうち、通告しましたように、議案71号の1議案について反対すべき討論を、議案77号、86号、87号、88号、89号、90号、91号、93号、および請願2号については賛成討論を行います。

◆議案71号豊田市体育施設条例の一部を改正する条例について、反対討論を行います。

 公募による公共施設の指定管理を前提とした議案であります。私ども日本共産党市議団は、指定管理者制度そのものに全て反対という態度ではありません。公募による指定管理者制度の導入で、競争原理が働き、コスト削減を狙うということの問題を指摘し、本来の公共施設のありかたを検討すべきと考えるものです。

 公募に民間の営利企業が参入し、公共施設を管理する場合、そもそも住民の福祉を増進するという目的が達せられるのか、短期の指定期間となるため、職員の専門性・継続性の確保の問題、利用者に対する公平性の確保や議会への報告や監査などの公開性・透明性の確保など多くの問題点が挙げられます。市民のスポーツ施設のように、本来なら行政が直接その公的責任を負わなければならない施設までも、公募を前提に指定管理にする本議案には、反対すべきとする討論といたします。

次に

◆議案77号 平成30年度豊田市一般会計補正予算について、賛成討論を行います。

 (8款―2項-2目)耐震対策費(1)橋りょう耐震対策費については、平成記念橋の耐震のための仮設の撤去・再設置工事の補正は必要な補正であり、この工事によって、工事完了期間への影響は及ぼさないとの答弁があり、賛成であります。

 同じく(9款―1項―5目) 防災設備費(1)災害時情報通信設備整備費については、災害時の避難勧告などの緊急情報を確実に伝達できる防災ラジオの申し込み数が、予定した購入見込みを2,300台分上回りました。この2,300台分の配布は、今年度中に行われることとあわせて、今後の追加の申し込み分のすべてについても、来年度の予算措置がおこなわれ、配布されることが質疑を通じてわかりました。

 加えて、高齢者世帯などの要配慮者への対応が適切に行われ、防災ラジオを希望される市民に確実に配布できることにより、市民の安全確保のための整備としての位置付けを高めることから、賛成討論といたします。

◆議案86号~議案91号について、竹村小学校はじめ6つの小中学校の保全改修の工事請負契約の締結については、一括して賛成討論を行います。

 今回の学校施設の保全改修工事にあわせて、対象の小中学校のトイレの改修、洋式化がおこなわれ、これにより、箇所数としては、全体の56,5%のトイレが洋式化されることが質疑を通じてわかりました。

 残りの小中学校のトイレの洋式化への改修工事完了の計画では、平成30年代の早い時期を目指すとしており、保護者、市民、子どもたちの声であるトイレ洋式化を加速することを申し上げ、賛成討論といたします。

◆議案93号 財産の取得について、賛成討論を行います。

 これは基幹バス車両の取得であります。名鉄バスの今年10月からの廃止の決定により、市民の生活に影響が出ることが懸念されておりましたが、その代替路線として、おいでんバスの新規路線を増やす判断がされました。これに対応するためのバス車両の取得が含まれる議案であり、市民の生活の維持、公共交通の利便性向上に寄与するものであることから、賛成であります。

◆最後に、請願2号について賛成討論を行います。

 請願のテーマは、核兵器禁止条約への署名と批准を、政府ならびに関係機関に求める意見書の提出であります。

 ご承知のように、昨年7月7日に国連の会議において核兵器禁止条約が国連加盟国の3分の2に相当する122カ国の賛成により成立しました。今後、国際条約として効力を発揮するためには、各国がこの条約を調印署名し、各国の国会において批准する手続きが必要であります。この手続きが50カ国を超えた時に、国際条約として発効して、正式に国際的な法的規範、法の枠組みとなります。現在、すでに59カ国が調印を済ませ、10カ国が批准しており、今後、続々と批准国が拡大する勢いであります。その意味で、核兵器禁止条約の調印と批准をこの時期に政府、ならびに関係機関に求める事は非常に意味のある事だと考えます。

 日本政府は、アメリカの「核抑止力」=「核の傘」が「自衛」に不可欠という立場をとっています。しかし、「核抑止力論」というのは、いざという時には核兵器を使用する。その「脅し」によって安全保障をはかる、という考えにほかなりません。いざという時には広島・長崎のような非人道的惨禍を引き起こしても構わないとの考え方は、非核3原則の日本の国是とは相容れないのではないでしょうか。

 また、日本政府は、禁止条約は核保有国と非核保有国の「分断」を深めるということを理由に、条約には参加せず、日本は「橋渡し」をするとしています。しかし実際に行っているのは、「橋渡し」ではなく、核保有国に同調・追随しているばかりであり、どうして、これで仲介をはたすことができるでしょうか。

 なによりも、日本は、唯一の戦争被爆国ではありませんか。

 日本が率先して、この条約の発効に努力してほしいと願っていることは、思想信条の違いを超えた日本国民の多数の声だと思います。

 地方自治体として、国に対してそのように意見を表明する事は妥当な事であり、現に、全国の多数の自治体首長と自治体議会も、その意見を表明しております。請願趣旨と同様の主旨の国際署名がヒバクシャから呼びかけられ、その数は、今や500万筆を超えております。その中で、全国1,747市区町村の首長の60%を超える1,065人の首長が署名されております。合わせて、20の県知事も署名されております。今回の請願と同趣旨の意見書を提出した自治体議会は、すでに259を数えております。

 今、核兵器の脅威を取り除くのは、「核抑止力」ではなく、世論と外交の力であることも鮮明となりつつあります。朝鮮半島の非核化を謳った板門店(パン・ムン・ジョム)宣言が南北首脳会談により結ばれ、歴史的な米朝首脳会談においても、朝鮮半島の非核化が合意されました。今後、完全な非核化の実現のためには、関係各国、国際社会の協調したとりくみが必要であると考えますが、なによりも、法的な枠組みが国連のもとに成立したのでありますから、日本も韓国も北朝鮮もそろって核兵器禁止条約に参加することが、北東アジア地域の非核化にとって最も有効な法的手段ではありませんか。「私の国も核兵器禁止条約に参加する。だからあなたの国も参加してほしい」と呼びかける事こそ、外交交渉というものではありませんか。

 都市市民の平和と安全を守るためにも、全国の多くの自治体首長も賛同し、全国の多くの自治体議会でも意見書を上げている、本請願に、ぜひとも議員諸氏の賛同をいただきたい事を述べまして、賛成討論といたします。

 以上、全ての討論を終わります。

2018年6月2日、核兵器廃絶を求めるデモ・国民平和大行進に参加する大村市議と根本市議