豊田市議会の12月定例会が25日に閉会しました。
最終日には、提出議案や請願に対する各会派の見解を表明する本会議討論が行われました。日本共産党市議団の議案に対する見解は以下のとおりです。根本みはる市議の討論原稿を掲載します。
自民、市民フォーラム、公明は、すべての議案(113号~193号)について賛成、請願3号について反対であると本会議討論で述べられました。諸派の岡田市議は、議案116号と117号については反対、他の議案については賛成、請願3号については反対。
提出された議案と議決結果の一覧は、豊田市議会HP議決結果一覧をご覧ください。
2018年12月25日
本会議討論の原稿 根本みはる市議
私は、日本共産党豊田市議団を代表して、上程されました議案のうち、通告しましたように3つの議案、および請願については賛成すべき討論を、14の議案については反対すべき討論を行います。
はじめに、議案114号 豊田市個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例について、反対討論を行います。
自治体自身による個人情報流出事故が続出していることが質疑により答弁されたように、その危険性は高まる一方で、一旦、流出した個人情報の完全な回復はきわめて困難となります。改めて、制度開始前から指摘されていたマイナンバー制度自体の問題点と合わせて指摘し、反対すべき討論といたします。
議案116号豊田市議会の議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例、および議案117号豊田市特別職職員の給与を定める条例の一部を改正する条例について、一括して反対すべき討論を行います。
答弁であきらかなように、議員と特別職職員の期末手当については報酬審議会で審議されていない点、市民の所得が伸び悩んでいる上に、消費税や社会保険料など負担増が続いている点から、議員と特別職の期末手当を引き上げる本議案には市民の理解が得られないと考え、反対とします。
議案121号 平成30年度豊田市一般会計補正予算について、賛成の討論を行います。
9月議会の補正に続き、中学校のエアコン設置を前倒しして整備する判断を下した措置であり、市内業者による整備の予定である点について、高く評価し賛成の討論といたします。
次に、以下の指定管理の指定に関する議案については、反対すべきとする討論を行います。
議案130号豊田地域文化広場、134号豊田市棒の手会館及び猿投棒の手ふれあい広場、138号豊田市高岡公園体育館及び高岡公園、140号豊田市藤岡体育センターほか3施設、145号豊田市下山西部プール、151号豊田市高岡コミュニティセンターほか2施設、152号豊田市高橋コミュニティセンター及び加茂川公園、153号豊田市平戸橋いこいの広場及び平戸橋公園、157号豊田市藤岡ふれあいの館、158号市営駐輪場、及び187号中央公園の各指定管理者の指定に関する議案であります。
今回上程されました指定管理を指定する議案のうち、文化振興財団や社会福祉協議会、三州足助公社など市も出資し、責任を持っている団体が指定をされるものについては同意するものでありますが、先ほど述べた11の議案には反対であります。そのうち10の議案はいずれも公募制を導入し、営利企業に指定しようとするものであり、反対であります。
私ども日本共産党市議団は、指定管理者制度そのものに全て反対という態度ではありません。さらに公募制や株式会社の指定に全て反対というものでもありません。一つ一つの施設の設置目的や性格、市民利用の現状に照らして指定管理にすべきかどうか、公募により民間企業のノウハウを利用したほうがよいのか、そうでないのか丁寧に検討し、その方向を定めるべきだという立場であります。
その上で、営利企業が管理する場合の問題点として、次の点を指摘したいと思います。
住民の福祉を増進するという目的が達せられるのか、利用者に対して公平性が確保できるのかか指定管理者がかわるたびに雇用問題が発生するのではないか、議会への報告や監査など、公開制、透明性が確保されるのかなど、多くの点が挙げられます。特に文化、スポーツ、地域コミュニティなど、本来なら行政が直接その公的責任を負わなければならない施設までも指定管理者を公募にして、市場原理の世界に放り出すという点は指摘しなければなりません。加えて、議案にあります西部、高岡、高橋コミュニティセンターの指定管理者による雇用形態では、全職員数に対し、契約社員、パートなど不安定な雇用の方が6割から8割を占める実態を鑑み、労働条件の改善、非正規職員と正規職員との均等待遇などを公募条件に反映すべきことを申し上げます。
なお、中央公園を株式会社豊田スタジアムに指定する議案に関しては、議会で指摘しておりますように、使用料収入などを差し引いて管理や整備にかかった市の持ち出し分は、平成29年度分で10億4000万円、建設当初からの総額で100億円を超えるもので、公費を多額につぎ込んでの管理のあり方には疑問であります。
以上の点から指定管理議案に関する冒頭に申し上げた11の議案については、反対すべきであることを述べ、反対討論といたします。
次に、議案192号工事請負契約の締結について(豊田市立高嶺こども園園舎改築工事)については、老朽化した園舎の改築工事は必要であり、この議案については賛成であります。同時に、その運用にあたって一言討論として申し上げます。高嶺こども園は新しく建て替えられた1年後には民間移管され、その10年後には、無償譲渡される計画であります。民間移管される公立こども園6園の民間移管に伴う雇用関係が不明確であるという9月議会で指摘した問題点を残したまま、これら公の財産を譲り渡すべきではないことを申し上げます。
議案193号工事請負契約の締結について(仮称)南部1次救急診療所等新築工事について、賛成の立場で述べたいと思います。この施設は1次救急診療所と、障がい者・障がい児の施設の併設ということでありますが、南部の2次救急医療体制が不足している現状から、南部地域の救急医療に対する位置付けを高める必要がある点を指摘しておきます。
最後に、請願第3号介護・福祉・医療など社会保障の施策拡充についての請願書について、紹介議員として請願に賛同し、賛成する討論を行います。請願者は、介護・福祉・医療などの社会保障施策全般に関して、地方自治法第1条にうたわれている住民の福祉の増進という自治体の役割の本旨に従って、施策の拡大と国・県に意見を表明することを求めております。
ことし39回目を迎えるキャラバン要請行動の中で、住民の暮らしを守り改善する要求を掲げ、市町村に要請し多くの要望が実現されてきました。また、要請行動を重ねる中、地域住民の実情や要望を踏まえ、国の制度改悪について自治体からの意見が反映されたことも住民自治の前進であります。
年金引下げに対する要望については、年金引下げの違憲性を訴える年金裁判が、全国で5133人の原告、44の県、39の地方裁判所、300人を超える弁護士、5人の学者の意見書提出などにより、3年に渡り取り組まれ、歴史的な社会保障の集団訴訟となっております。最低保障年金制度の実現は、生存権を保障する憲法25条に基づき求められ、加えて国連の社会権規約委員会からも国に対し勧告が行われ、早急な実現が求められているものであります。
以上の点を尊重し、議員各位のご賛同で、以上の請願を採択されるように心から呼びかけて、賛成討論といたします。
以上で討論を終わります。