トヨタシンポジウム すすむ金融化、増える内部留保

トヨタシンポジウム すすむ金融化、増える内部留保

 第34回トヨタシンポジウムが11月23日、名古屋市内の労働会館で開かれました。

 基本講演は、政治経済研究所の佐々木憲昭主任研究員(元日本共産党衆院議員)が、「グローバル経済のなかで企業の社会的責任をどう果たさせるか」と題して話しました。

 下の表は、2008年3月期と18年3月期の決算を、有価証券報告書をもとに作成したもので、佐々木氏が講演の中で示したものです。

 売上高、営業利益の伸びに対し、現金と現金同等物は1・87倍、定期預金は6・69倍、有価証券は3・26倍、投資有価証券は2・33倍と大きく伸びています。

 佐々木氏は、日本の大企業のグローバル化は、最初は輸出で、次は生産の海外移転で、さらに金融化という3段階で利益を上げ続けてきた、と分析しましたが、それを裏付けるデータです。

 内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、08年の12兆円余から18年の19兆円余と1・57倍のハイペースです。日本の大企業で、トヨタは内部留保NO1ですが、2位の三菱UFJの倍近くもため込んでいます。

 注目したいのは、「法人税等」です。08年は9114億円余でしたが、08年は5044億円余と55%程度に激減していることです。これは、歴代自民党政権が法人税減税(1980年代半ばの43・3%から2010年代半ばの23・4%)を引き下げたことや研究開発減税など様々な大企業優遇税制によるものです。

 2兆円~3兆円近くという日本の大企業で突出したばく大な利益をあげ続けてきたトヨタが、大幅に減税の恩恵を受ける――アベノミクスで貧困と格差が広がるなか、大企業優先の政治にメスを入れる必要があります。

(ブログ「トヨタで生きる」より)