豊田市議会の3月定例会が19日に閉会しました。
最終日には、議案や請願に対する各会派の見解を表明する本会議討論が行われ、日本共産党、自民、市民フォーラム、公明、諸派の岡田市議が本会議討論で発言しました。日本共産党市議団の議案や請願に対する見解は以下のとおりです。大村よしのり市議の討論原稿を掲載します。
自民、市民フォーラム、公明は、すべての議案に賛成、請願には反対。諸派の岡田市議は、議案2と議案50に反対、他の議案には賛成、請願には反対。諸派の原田市議は、すべての議案に賛成、請願には反対。
提出された議案と請願の議決結果の一覧は、豊田市議会HP議決結果一覧をご覧ください。
2019年3月19日
本会議討論の原稿 大村よしのり
私は、日本共産党豊田市議団を代表して、上程されました議案のうち、通告しましたように、1つの議案と1つの請願については賛成すべき討論を、13の議案については反対すべき討論を、議案番号の順に従って行います。
◆議案2号 豊田市議会の議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部改訂に反対すべき討論を行います。
報酬額の引き上げの前提として、経済状況、賃金状況についての市当局としての認識を本会議質疑で問いましたが、人事院勧告の認識を答えるばかりでありました。しかし、ご承知のように、3月に発表された景気動向指数は2013年6月以来の低水準となり、内閣府も基調判断を「足踏み」から「下方への局面変化」に下方修正しました。賃金水準も、勤労統計の不正が明らかとなり、2018年「実質賃金」の前年同月比の伸び率は大半がマイナスだったことを厚労省も認めました。アベノミクスによって景気は良くなった、賃金が上がったと言われながら、景気回復の実感がないという世論調査とのギャップが大きかったわけでありますが、その実態が明らかになりつつあります。そのような経済状況、賃金状況にあって、議員の報酬の引き上げは、市民の理解は得られないと考え、反対すべきことを申し上げ、討論といたします。
◆議案12号 豊田市指定障害福祉サービスの事業等の設備、運営等に関する基準等を定める条例の一部改訂と、議案14号 豊田市指定居宅サービスの事業等の人員、設備、運営等に関する基準等を定める条例の一部改訂につては、一括して反対討論を行います。
問題とすべき点として、1点目、利用者負担について。障害福祉サービスを利用していた障がいの方が65歳になって、共生型サービスを利用する場合、介護保険優先の原則で、介護保険の認定を受けて、これまでの応能負担から応益負担となり、一定割合の利用者負担が生じることになります。負担軽減があっても、限定的で多くの障がいの方へのサービスの後退は、障がいの方が望むものではありません。障害を持つ方たちが真に望んでいるのは、65歳になっただけでサービス支給の縮小・打ち切り、定率負担が課せられる介護保険優先原則を廃止することであります。
2点目、「共生型サービス」は、事業所が障害福祉サービスも介護サービスも実施できるよう、特例を設けて、基準緩和を行うものですが、新たな職員体制や設備について、施設への支援がおこなわれないものであります。国の目指す地域共生社会で、障害者・障害児も高齢者も包括的な支援体制を提起していますが、これは、効率化や人材不足解決のために、施設、専門職員の供用、兼務を進めるにすぎません。本来必要なのは、福祉労働者の処遇を抜本的に改善し、専門職をしっかり配置することであります。以上の点から、本議案には反対すべきであります。
◆議案13号 豊田市国民健康保険税条例の一部改訂に対する反対討論を行います。
本議案は、さらなる保険税の引き上げをしようというものであります。高すぎる国保税は、負担能力を超えて払いきれないという実態が深刻になっています。これ以上の引き上げには、はっきりと反対を申し上げます。
◆次に、予算関係議案について討論を行います。
平成30年度補正予算については、議案19号、20号、26号、28号について反対討論を行います。これは、一般会計補正、国民健康保険特別会計補正、介護保険事業特別会計補正、後期高齢者医療特別会計補正でありますが、すでに、30年度当初予算の審議の際に指摘した問題点を含んでいる中での年度末ちしての増減の補正でありますので、反対すべきという事を一括して申し上げて反対討論といたします。
◆さらに、平成31年度当初予算については、議案32号、33号、39号、41号について、これは、一般会計、国民健康保険特別会計、介護保険事業特別会計、後期高齢者医療特別会計でありますが、反対すべき討論をそれぞれ述べます。また、議案37号、これは水道水源保税事業特別会計でありますが、これは賛成討論を行います。
まず、一般会計予算であります。
いじめ・虐待防止への対応でスクールソーシャルワーカーを5名に増員される点、防災ラジオ普及拡大の予算、就学援助の新入学準備金の増額など、市民のくらしと福祉に役立つものとして評価できる面をあげておきます。さらなる拡充を求めておきたいと思います。
一方、問題点をいくつか指摘しなくてはなりません。以下、6点にわたり討論を述べてまいります。
①歳入、歳出全般について。全国54中核市の中での比較で、市民一人当たりで、市税収入は全国1位の歳入がありながら、それを使う歳出では、民生費が51位、土木費が1位という「いびつ」な予算になっている点を質疑によって確認しました。地方自治法の基本原則にたって「住民の便宜及び福利増進」を予算の主役にするよう、根本的に予算組を改めるべきであることを申し上げます。
とりわけ、ラグビーワールドカップを軸とした、いわゆる「イベント型」の予算への偏重には警鐘を鳴らしたいと思います。外から、人を呼び込み、一時の賑わいをつくった後を負の遺産にしないためには、特別の努力が必要です。何よりも、豊田の地域に、現に住み、暮らし、働いている人たちにとって、よりよい暮らしが実感できる予算編成こそが求められることを申し上げたいと思います。
②歳入、市民税のうち、法人市民税は市内大企業が「過去最高益を更新」と報道される中でも逆に33億円余のマイナス予算を組みました。この間、指摘していますように、大企業優遇税制による実際の税負担率の低下や、海外展開を広げる多国籍大企業が利益を拡大しながらその利益の「海外子会社配当益金」には税金がかからないようにした仕組みなどが大きく影響していると思われます。
そういう状況だからこそ、法人市民税では標準税率を超えて超過課税を行う事、不均一課税で、大企業に対して超過課税を行うべきことを申し上げたいと思います。答弁によれば、全国の中核市の9割にあたる48市が超過課税を行っている事が確認されました。当初予算で超過課税を行えば66億円余が歳入見込みである事も確認できました。特に、地方交付税が合併特例により70億円前後で歳入されていたものが、ゼロになっていく状況のもと、それに相当する歳入額を超過課税により手立てして、中山間地域の特別な対策にあてるならば、それこそ、都市と農山村の共生を予算の上でも具現化するものになるのではないでしょうか。その理念を予算で具体的したものを示せば、市内大企業にも理解し、協力いただけるのではないでしょう。その点を強く、申し上げたいと思います。
③原発関係の電源立地地域対策交付金は2,300万円余を豊田市からの申請によって歳入に計上することが答弁で明らかとなりました。この交付金は、平成14年から受け取った分を含めると4億5千万円を超えるものである事も確認されました。海外への原発輸出が全て中止となり、原発政策そのものが行き詰っている今こそ、原発関係の交付金は全て返納すべきであります。
④学校給食費を値上げする予算措置が盛り込まれました。小中学校の児童生徒合わせて、影響額は3000万円の負担増であることが質疑により確認されました。ならばこそ、そのくらいの経費は、なぜ、市の財政支出で吸収し、据え置きにできないのか、給食費の値上げを中止し、少なくとも据え置くべきことを申し上げます。
⑤歳出では、豊田スタジアムの管理委託料や修繕の費用などの支出に対して、使用料・広告料などの収入を差し引きした、市としての「持ち出し分」は12億6000万円余である事を答弁で確認しました。ラグビーワールドカップ対応の設備費用などは、平成30年度予算でほとんど歳出していますので、この12億円余は、通常の市の持ち出し分が益々、増大している事実を示しています。抜本的な対策をとるべきことを、繰り返し提起するものであります。
⑥市の公的な仕事を次々に民間にゆだねていく予算は問題であります。放課後児童クラブの運営、こども園の民間移管、学校給食センターのPFI事業化、中央図書館の民間企業への指定管理など、次々に民間に事業を投げていくやり方は、教育・子育て分野での公的責任の大きな後退につながる危険性を指摘するものであります。さらに、介護の認定審査の分野も民間委託ですすめます。福祉分野への民営化の拡大に強い懸念を表明します。
以上の点をふまえて、一般会計予算案に対して反対すべきとする討論といたします。
◆次に、3つの特別会計について討論を述べます。
①国民健康保険特別会計について。
国保税の金額は、値上げが繰り返されてきたため、市民生活にとって限度を超えるものとなっています。国保の都道府県化により、さらなる値上げが懸念されます。市として市民の負担軽減をすべきであり、高額な保険税をそのままにした予算には反対を申し上げるものであります。
②介護保険特別会計について。
一定所得以上の方の介護利用料は、1割負担から2割負担に上がりました。一方、要介護1.2の方は特養ホームへの入所者から外され、重度の方に絞ってもなお多数の入所待機者が残っているように、「保険あって、介護なし」の事態は悪化するばかりであります。このような介護保険の制度そのものを抜本的に改善すべきであります。
③後期高齢者医療特別会計について。
低所得者に対する保険料の軽減措置が改悪されました。保険料均等割額の特例軽減措置は、年金収入が80万円以下の低所得の方が9割軽減から8割軽減に変り、年間保険料は4500円が9000円に大幅な値上げとなります。
長生きした人たちに辛い思いをさせる医療制度は、全ての世代にとって不幸です。問題だらけの差別的な制度はすみやかに廃止し、少なくとも以前の老人保健制度に戻すべき事を申し上げ反対討論といたします。
◆議案37号 水道水源保税事業特別会計予算については、賛成討論を行います。かつて、収入のほとんどを基金に積み立ててきましたが、新年度予算では基金を取り崩して歳入し、歳出では間伐と水源林確保を軸に水源の森林保全をすすめる予算となっています。日本共産党市議団として、長らく指摘をし続けて是正されたものであり、これからも同様の考え方で、今後の予算執行をする方針を確認しました。この特別会計の持つ、森林保全の位置づけをしっかりと踏まえて予算化すべきことを確認し、賛成討論といたします。
◆次に、議案51号 足助プール指定管理者の指定について、反対の討論を行います。教育・スポーツ・地域コミュニティーなど、本来なら行政が直接その公的責任を負わなければならない施設を、市場原理の世界に放り出す判断には賛成できません。よって、反対すべきことを申し上げます。
◆次に、請願1号、「これ以上国保税の引き上げをしないことを求める請願」について、紹介議員として請願に賛同する討論を行います。
請願者は、何よりも国保税のこれ以上の引き上げをしない亊を求めています。そのため、一般会計からの繰り入れを増加する事を求めています。
そもそも、高すぎる保険税は、住民の暮らしを苦しめているだけではなく、国民健康保険制度の根幹を揺るがしています。全国知事会、全国市長会、全国町村会などの地方団体は、加入者の所得が低い国保が他の医療保険より保険料が高く、負担が限界になっていることを「国保の構造問題」だとし、「国保を持続可能とする」ためには、「被用者保険との格差を縮小するような、抜本的な財政基盤の強化が必要」と主張しています。日本医師会などの医療関係者も、国民皆保険制度をまもるために、低所得者の保険税を引き下げ、保険証の取り上げをやめるよう求めています。
このような構造問題の解決には、全国知事会がもとめているように、国による公費の投入が不可欠であります。少なくとも、当面は、市の一般財源の投入による値上げを回避する事が強く求められます。
以上の主旨をご理解いただき、ぜひとも、議員諸氏のご賛同で採択をいただけることを願って、賛成討論といたします。
以上で全ての討論を終わります。