3月定例会が閉会 小学生へのタブレット 画一的な教育懸念

3月定例会が閉会 小学生へのタブレット 画一的な教育懸念

 豊田市議会の3月定例会が3月13日(金)に閉会しました。3月定例会に提出された議案について同日、それぞれの会派や市会議員によって賛成・反対の討論が行われました。

 日本共産党の根本みはる市会議員の討論原稿を、以下に転載します。

 提出された議案の一覧については「豊田市議会HP提出議案一覧」をご覧ください。

 議決結果については、根本みはる市議以外の会派や市議は全ての議案に賛成し、全て原案可決となりました。

豊田市議会3月定例会 討論原稿 日本共産党 根本みはる

 私は、日本共産党豊田市議団として、上程されました議案のうち、通告しましたように、1つの議案については賛成すべき討論を、12の議案については反対すべき討論を、議案番号の順に従って行います。

 はじめに◆議案6号 豊田市手数料条例の一部を改正する条例に反対すべき討論を行います。この条例改定は、デジタル手続法に基づいて、マイナンバーと戸籍情報や健康保険証と結びつけ、一層のマイナンバーカードの普及促進を狙うものであること、家族関係などの個人情報の一体管理によって、個人情報が漏えいする危険が、国会審議の中で指摘されております。本市のマイナンバーカード交付率は、平成29年度で11,5%、令和元年度では、カード交付を推進するための国の補助金を投入しても、15,9%と低いことが答弁で明らかとなりました。市民にとって切実な緊急性がなく、情報漏えいのリスクへの不安が高まる中での条例改定に反対すべきことを申し上げ、討論といたします。

 ◆議案11号 豊田市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例については、賛成の討論を行います。

 支援員の研修機会の拡大により、放課後児童クラブの質の確保と、児童の安全な生活の場を維持する内容であります。委託事業者に対し、支援員の勤務時間外の研修は「勤務扱い」であることの徹底を、確実に行うことを申し上げ、賛成討論といたします。

 ◆議案19号 豊田市国民健康保険税条例の一部を改正する条例に反対すべき討論を行います。県が決める国民健康保険事業費納付金を基準とした算定の結果、1人あたり平均年額2400円の値上げとなります。国保税は、制度の構造上からも値上げが繰り返され、その額は限度を超えるものとなっています。全国知事会の要求に基づく1兆円の公費負担を求めつつ、均等割を廃止し、市民の負担軽減をすべきであります。市民へのさらなる負担増となる本議案に、反対すべきことを申し上げ、討論といたします。

 ◆議案25号 豊田市都市公園条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例

 鞍ケ池公園に指定管理制度を導入することによる条例改定であり、商業施設の設置で収益性が優先されることにより、憩いの場としての公園機能の低下と、公の役割が軽視される点を指摘し、反対すべきことを申し上げ、討論といたします。

 ◆次に、予算関係議案について討論を行います。

 令和元年度補正予算については、議案27号、28号、34号、36号について反対討論を行います。これは、一般会計補正、国民健康保険特別会計補正、介護保険事業特別会計補正、後期高齢者医療特別会計補正でありますが、すでに、令和元年度当初予算の審議の際に指摘した問題点を含んでいる予算を年度末に増減する補正でありますので、反対すべきという事を申し上げます。

 一般会計補正については、国の総合経済対策として昨年末、打ち上げられた「ギガスクール構想」は、1人1台タブレットの整備により、「個別最適化された学び」を推進するものとしておりますが、教育の専門家からは、公教育への企業の参入が進み、集団的学びがおろそかになり、画一的な教育につながるとの懸念も出ています。毎日のこどもの様子を把握し、1人1人に目が行く届く教育、教員の負担軽減を目指すのであれば、まず少人数学級の全学年ヘの拡大をおこなうべきことを申し上げ、反対の討論といたします。

 ◆さらに、令和2年度当初予算については、議案40号、41号、47号、49号について、これは、一般会計、国民健康保険特別会計、介護保険事業特別会計、後期高齢者医療特別会計でありますが、反対すべき討論をそれぞれ述べます。

 まず、議案40号一般会計予算であります。

 こども医療費助成の対象の拡大なども含まれる一方、問題点をいくつか指摘しなくてはなりません。以下、6点にわたり討論を述べてまいります。

 歳入では①市民税のうち、法人市民税は178億円余のマイナス予算であります。法人市民税法人税割の一部国税化とされたことに伴い、法人税率の引き下げ前より、36億円余減った計算であります。標準税率を超えた制限税率で、大企業に対して課税すれば、122億円余となる見込みである事も確認できました。一方、働く市民の実質賃金は下がり、消費税増税が暮らしを直撃する中、大企業各社の春闘回答は、軒並みゼロもしくは低額回答であります。地域経済と、それを支える中小零細企業への支援を、抜本的に講じる必要性を申し上げたいと思います。

 ②原発関係の電源立地地域対策交付金は2,520万円余を、豊田市からの申請によって歳入に計上することが答弁で明らかとなりました。この交付金は、平成14年から受け取った分をあわせた総額は、5億560万円を超えるものである事も確認されました。今年2月「脱原発をめざす首長会議」は、核燃料サイクルを柱とする原子力政策を見直し、国内の全原発を廃炉にするよう求める緊急声明を発表しています。原発政策の破綻はいよいよ明らかであり、原発関係の交付金は全て返納すべきであります。

 ③歳出では、議会費の旅費のうち、海外視察費合計1,440万円が計上され、その内訳は、1人当たり120万円であることが通告によりあきらかとなりました。議員の調査活動に要する費用は、政務活動費で認められており、令和元年6月市議会で、53万円から60万円に引上げたばかりであります。海外視察について、市民に広く知らせ、認めるべきか意見を伺い、検討すべきことを申し上げます。

 ④豊田スタジアムの支出予算に対して、収入予算を差し引きした、市としての「持ち出し分」は、8億2740万円余である事を答弁で確認しました。抜本的な対策をとるべきことを、繰り返し提起するものであります。

 ⑤こども園の園舎のうち、今こども園の仮設園舎のリース契約が繰り返されてきました。平成13年に設置された仮設園舎は、令和元年度で18年が経過し、今回、令和7年度までさらに契約を延長するものです。子どもたちの毎日の生活の場の確保は、仮設のリース延長でなく、園舎の改築でおこなうべきことを申し上げます。

 ⑥市の公的な仕事を民間にゆだねていく予算は問題であります。放課後児童クラブ・給食センターの運営、こども園の民間移管、中央図書館の民間企業への指定管理など、民間に事業を投げていけば、教育・子育て分野での公的責任の大きな後退につながる危険性を指摘するものであります。

 以上の点をふまえて、一般会計予算案に対して反対すべきとする討論といたします。

 ◆次に、3つの特別会計について、反対の討論を述べます。

 41号 国民健康保険特別会計予算については、議案19号で、述べた内容が反映された予算であり、反対すべきことを申し上げます。

 47号 介護保険事業特別会計予算について、保険あって介護なしの事態は悪化するばかりであります。保険料負担の軽減のため、国庫負担割合を増やし、制度そのものを抜本的に改善すべきであります。

 49号 後期高齢者医療特別会計について。保険料は2年間にわたり、8410円もの大幅な値上げの予算となります。75歳以上の高齢者が増えれば、保険料があがっていく制度はすみやかに廃止し、少なくとも以前の老人保健制度に戻すべき事を申し上げ、反対討論といたします。

 ◆次に、議案61号 足助プールの指定管理者の指定について、反対の討論を行います。市の施設に指定管理者制度を適用する場合、公共的性格をもった団体を優先すべきであり、株式会社に委ねれば、市場原理が優先されることの危険性を指摘し、反対すべきことを申し上げます。

 以上で、全ての討論を終わります。

3月定例会で一般質問を行う根本みはる市会議員